同時発売の「フロム・ビヨンド」とともに購入。
正直言ってあんまり期待してなかったんですが、これは掘り出し物かもねっ!
ストーリーはなんのこたぁ無い、よくあるっちゃぁよくある話、寓話のホラー化です。
ところがどっこい妙に惹きつけられるんですよ、このよくある話に。
他の方のレビューにもあるように、やはりチビッ子ヒロインの存在が大きいんでしょうね。
可愛らしさ満開のこの娘が、残酷な童話の中での唯一の救いなワケです。
あと、人の良さ気なおデブさん(意外とハンサムだと家内が申しておりました)もいい感じ。
優しそうなルックスがコミカルなキャラクターと相まって、こちらも
清涼剤的な空気を醸し出してくれてます。
これは「フロム・ビヨンド」でも感じたことなんですが、とにかく俳優さんたちが凄くしっかりと演技なさってるんですよね。
館の老夫婦、娘を大事にしない父親と意地悪そうな継母、この4人のベテラン勢は貫禄の演技で見ていて大満足。
アンポンタン丸出しのネーチャン二人組も、学芸会的な空気を感じさせつつも若い演技で精一杯がんばってるのは好感が持てました。
先のチビッ子ヒロインとハンサムデブ氏も含めて配役は完璧だと思います。
おかげで本来ならB級やらC級で終わってしまう本作に、少しばかりの品格を与えてくれてたりします。(あくまでも個人的な見解です)
CGに頼らない(っつーか頼れなかった?)驚きの特撮技術にも一目置きたいですね。
人形の表情や動きが本当に生きてるみたいに感じさせてくれます。
この映画、地味な小品ではありますが、個人的に永遠のフェイバリット・ムービーになりそうです。
登場する三つのカップルには共通項がある。片方がもう一方を愛しすぎるがゆえにその愛は対象となる相手の現実の肉体を超えて遠くまで行ってしまう。そもそも愛していたのは目の前の現実の人間であったのであったが、愛のみが独立して対象を必要としなくなってしまう。従って目の前にその相手がいる必要がない。
魂を失った人間は精神的に問題を抱えている人間として描かれている。もう一方の人間は魂の抜け殻となった人間を愛し続けることになる。しかし、一般的に考えられているような笑ったり、冗談を言ったり、意思確認をするといったようなコミュニケーションは両者の間ではまったく存在しない。愛は永遠にすれ違ったままなのである。
最終的には1つのカップルは二人の死を、残りのカップルは片方の死を迎えるという結論なる。監督によって意図された構造があるのかもしれないし、ないのかもしれない。私はこの映画の意図するところがわからなかったが、その不思議な関係性を見ているとなぜだか安堵の気持ちを得ることができた。美しい映像とともに描かれる決して交わらない過去に失われた愛の話。とても切ないが、この言葉にできない感情は明らかに我々が生きている間に経験するある感情を描いたものである。