エロ事師たち (新潮文庫)
特有の文体でアンダーグラウンドな世界を描き出すのはまさに著者ならではだと思います。
文章を学ぶ人が必ずいわれるのが、野坂昭如だけは真似するな、ということです。
それほど個性的で、独特です。
書き出しはややぶれている感じを受けますが、少し進むと饒舌な文章はリズムに乗って気持ちよく読めます。
スブやんというエロ事を商売にしてしまった男とその仲間の可笑しくもあり物悲しくもある物語です。
当時の風俗小説としても読めます。男というものは、どんな時代であっても変わらないな、という思いがいたします。
いい歳をした大人が、世の常識とかけ離れた価値観と行動様式を持ちながら、したたかに生活の知恵を発揮してゆくのがとても面白いです。
それぞれが真剣に考えれば考えるほど、常識とずれてゆきます。
昭和30年代。映画続・三丁目の夕日で描かれた同じ時代です。
まだ、空襲を昨日のことのように思い出せます。
昭和という時代のニ面性。
軍国主義から一夜で民主主義の世界で暮らす羽目になった市井の人たち。
戦後焼跡闇市派たる著者の作品は、昭和の色に染まっています。
火垂るの墓 [VHS]
まだ生きる知恵も能力も乏しい少年が、幼い妹を抱えて乱世に放り出されたらどうなるか。彼の育ちの良さと誇り高さが哀れで切ない〜。
洗練された抑えた表現に大泣きしましたが、戦争孤児になった可哀相な子供たちのお話というだけじゃなくて、人間の尊厳とは何か、という重〜いテーマを感じました。年少者だから世間知も無く弱いのは仕方が無い。そういう弱者が自分と自分の家族の誇りを守って生きようとしたとき、こんな悲惨な運命をたどるしかなかった社会というのはなんなんだー。そして生きる知恵も能力も乏しかった人は少年だけじゃなく大人もたくさんいると思う。
映像はリアルで素晴らしいです。妹が作った墓に埋められるホタルの死骸、似たような穴に投げ込まれる無数の人間の死骸。草むらから飛び立つ蛍の群れ。
野坂歌大全I~桜井順を唄う
エレックの一連のものが、
再集録されているだけかと思ったら大違い!!
「黒の舟唄」は、オリジナルのコロンビアのシングルバージョン。
その他も、桜井さんが、独自に持っていたものから
ほとんどがCD化されています。
スターリンもじゃがたらも、
頭脳警察もアナーキーも
ぶっ飛ぶ、
それが野坂さんの歌です。
過激、とか、ロック、というのは
こーゆーの言います。
とりあえず一枚、野坂さんの歌聴きたいなら、
迷わずこれ、です。