91年9月に自身作詞・作曲の「Catch」('91フロム・エー関西版CMソング、オーディショングランプリ曲)含む大名作シングル「Catch/ともだちなのに」(「ともだちなのに」は非常に切ない隠れた名曲で、アルバム未収録!)でデビュー、現在は「篠原りか」として活動中の彼女の、「篠原利佳」としての
メジャー時代の93年1月2ndアルバム。80's後半〜90's前半は女性シンガー・ソングライター・ブームと言える程、非常に多くの女性アーティストが出て来たが、中でも彼女は歌唱力で群を抜いていた。歌声が「渡辺美里」に似ているとよく言われていたが、それはあくまで「Catch」での印象に過ぎないと思う。
92年2月1stアルバム『UPRIGHT』は比較的地味(静か)で、実験的要素もかなり含まれているような印象を受けたが、本作は全曲非常にポップでキャッチーであり、一般大衆にも受け入れられそうな作品になっている。特に「思い出になりたくない」 (92年11月4thシングル曲)が好み。「輝く瞬間(とき)」 (92年8月3rdシングル曲)は、非常にスケールの大きな
バラードだ。「恋よりも強い気持ちで」はサウンドがTM NETWORKを彷彿とさせる。
ただ、本作は純粋なラブ・ソングが中心であり、「Catch」のような「人生を前向きに生きて行く」感じの詞は少ない。「篠原りか」に改名後の楽曲を聴いたり、
メジャーレコード会社を離れて自主的な活動を行っている様子を見たりする限り、このラブ・ソング路線が彼女の本意であったかどうかは疑問。しかし、本作は紛れも無く「篠原利佳」時代のアルバムの最高傑作である。中古品が安価に入手可能なので、是非聴いてみて欲しい。
異素材がどのようなものか想像も出来ませんでしたが、今からの季節には直に着ていいのかもしれません。2つの素材の色合いがはっきりと違って実際手に取って見てたら買わなかったかも…気分転換の一着です。
3人組アイドルグループ「チャム」の一員であるミマは突然グループを脱退、女優への転身することになるのですが、本人の意向というよりは、事務所の方針に従ってのものでした。女優の仕事も決して順風満帆ではなく、連ドラの僅かな出演でしかなかったのですが、そこに非常に重たいシーンの撮影が絡んで・・・というのが冒頭です。
いわゆるサイコサスペンスものなんですが、非常に上手い作りに仕上がっています。確かに幻覚であり、思い込みであるはずのものが、実は私の認識していた現実のリアルさが信用出来なくなる、という恐怖を、何が何処まで本当なのか?という恐怖を煽る設定であり、映像であり、脚本であり、作品なのです。徹底した入れ子構造になっていますし、受け手である観客までもが、主人公ミマと一緒に何が映画内のリアルなのかが分からなくなるような、現実が溶解していく感覚になっていきます。この現実が溶解していく感覚に落とし込むのが非常に上手いです。
漫画「OPUS」でも、映画「パプリカ」でも、同じ構図が獲られているのですが、この「PERFECT BLUE」はより徹底していると言えますし、物語の終着点も私には予想外でしかも納得出来るものになっていて、破綻なし、飛躍なしの素晴らしい終着点です。
脇役の胡散臭さも納得出来るキャラクターですし、ほぼ1人芝居とも言える部分もミマ役の声優さんの上手さが光る演技だと思います。
「信用ならざる語り手」というモチーフに、あるいは「現実と夢の境界が不安定になる」というモチーフに、サイコサスペンスに興味がある方にオススメ致します。
アテンション・プリーズ
ちょっとだけネタバレを含む内容に触れます、未見の方はご遠慮下さい。
何より上手いのは些細なように感じた「あなた、誰なの?」というテレビドラマのセリフが、実は自分の中から出てくる言葉にもなり、多様な意味を持たせたり、夢と現実の区切り方、その見せ方、映画内リアルと映画内ドラマの境目の融解や、自室のちょっとした配置の違いだけで、今の映像の何処を信じてよいのか分からなくなる感覚、現実が融解するような感覚に陥らせる上手さが光ります。あからさまに幻覚が出てくる違和感も、その後の展開から納得してしまいますし、場面の切り替え方の受け手側の刷り込みを狙い打つかのような演出が素晴らしいです。本当に何がリアルなのか、アニメだからこそ出来る手段とはいえ、その予定調和を崩す手段が素晴らしい。
作中劇、という入れ子構造を徹底させてますし、伏線の貼り方も絶妙ですし、ドラマ内ドラマの場面なのか?それともミマの現実なのか?の線引きを曖昧にするのも上手いですし、素晴らしく完成された作品でした。この後の作品ですが「パプリカ」よりももっと濃密にした感じのこの「PERFECT BLUE」の方が個人的には好みです。サイコサスペンスというものに出てくる要素(信用ならざる語り手、ネット、ストーカー、などなど)をとても上手く扱っていると思いました。