「饅頭こわい」は、東西問わず有名な落語の一つ。長屋の若い連中が好きなもの嫌いなものを話し合っているが、一人だけすました顔でそれを見ている者がいる。周りの連中は彼の嫌いなものを聞き出すが、その若者は「まんじゅう」が嫌い、嫌いどころか怖いとさえいう。そこで彼のすました態度が気に入らない周りの連中は、まんじゅうで彼を一つ驚かしてやろうとたくらむが…。枝雀の「饅頭こわい」の聞かせどころは前半の好き嫌いの尋ね合いにあります。ここはお腹を抱えて笑えるくらいおもしろい。枝雀の本領発揮といったところです。
「ちしゃ医者」は、世間からヤブ医者と呼ばれる先生が遭遇する少しおかしな災難の話。この
タイトルは後半にある老婆が「医者」を日本レタスの「ちしゃ」と聞き違えるところから来ています。こやしに使う糞尿が話の途中から出てくるので、そういうネタでは笑えないという人には向いていません。先生の従者である久助が枝雀のハマリ役で、先生をヤブ医者とは思いながらも尊敬している様子を上手に表現しています。