ついてない女こと、月本幸子が本作では、つきすぎている女として、待望の相棒レギュラー・デビュー。
最初の月本幸子(
鈴木杏樹)の登場は、season 4 での、ついてない女。
その後、season 6 での2話連続となる、ついている女、狙われた女。
相棒の節目、節目で登場する愛すべきキャラクターの月本幸子。
彼女がいたから、
高樹沙耶さんの急遽降板で相棒は終わりを迎えかけていたのに、歯止めをかける事が出来たのである。
相棒には、何度か登場するキャラが存在するのだが、やはり月本幸子は、この作品には欠かせない登場人物となったのである。
花の里は(小料理屋)右京さんの唯一、羽根の休める場所であり、月本さんに対しては、まんざらでもない印象を受ける。
今後のさらなる展開に期待。
勿論、TVドラマもそうですし、この劇場版も同様ですが、
些細な処に『相棒』というシリーズの凄さが潜んでいるなぁ、
と、幼少時から推理小説や、所謂社会派小説等を好んで読んでいる自分は感じる次第です。
又、ドンパチが無くても、
探偵モノでも無く、
ストレートな刑事ドラマで、此処まで面白い作品が創れるという
事実を証明した事も勿論ですが、特にこの劇場版を観て凄いと感じた処が、
『杉下警部の冴え渡る推理、洞察力、観察力を引き立てたいが為に
他の登場人物がお馬鹿に見えてしまう という事が一切無い』
という点ですね。
往々にして、
「名
探偵役を際立たせる一番分かり易い方法は、相方が少し劣っている事」
という方法論が取られがちな中、この相棒シリーズ、
特に
神戸君が相棒となってからも尚、杉下警部の凄さが分かり易く伝わって来る事に、
オドロキというか、凄味を感じます。
これ、文章にすると簡単なんですが、いざカタチにしようとすると、相当難しいと思います。
何度この作品を観ても、「自分にとっての、或いは他人にとっての正義」という、
曖昧模糊とした、決して答えの出ないテーマを重厚に、
そして一切安易な自家撞着の陥穽も無く、真正面から扱っている優れた作品だと、
感心する事しきりです。
視点を変えれば、本当に、それぞれの登場人物の主張する「正義」が
『確かにそうだよな』『一理有るな』と感じられる。
実に、何度観ても飽きる事の無い、邦画史上に残るであろう名作だと心から感じます。
勿論、かねてからの相棒ファンの方は、当豪華版は必携だと思いますよ!
season9のBOX1で一番印象に残ったのは、第八話「ボーダーライン」。本来刑事ドラマで作られるようなストーリーではなかったかも知れないが、よくぞこの難しい社会的なテーマを「相棒」の中で取り上げ、ドラマに作り上げた。話そのものは救いようのないもので、観ている側もつらい部分があったが、こういったテーマを取り上げ、内容にバリエーションがあるのが、「相棒」というドラマの素晴らしさの一つであり、長く続いている理由の一つかも知れない。
今の時代、日本でもかなりの人が、あのような状況に陥りかねない。また、兄、元恋人、お菓子屋の売子が結果的に「被害者」を追いつめたが、誰でも人を傷つけ、追い詰める危険性もある。その意味でも辛いが、意義のあるドラマだったと思う。
一方、新春スペシャルは、ドラマとしては見せる部分もあった(特に南果歩の演技力は抜群)だが、最初に犯人がわかっているので、全体として陰鬱で、謎解きの楽しさも少ない。スペシャルというより、普通の46分枠で作った方が良かったのではないか。「相棒」のスペシャルは、娯楽的な意味でも楽しめる大作が多くて、期待も大きいだけに、ちょっと残念だった。しかし、ドラマとして見入ってしまう部分もあり、その点はさすがだった。