まず、ミスルトゥの植物研究プラントや、はじめて画面に登場したムーンレイスの居住地など、宇宙の人工物の中の自然や、人々の生活空間などに惹かれます。 第一話の神事などからそうですが、ターンエーは
美術設定的な部分と、それを本編で生かす的確な演出や描写なども、繰り返し見るに足る充実感を与えてくれます。 公に対する義務と、私的な恋愛感情が交錯しながらも、毅然と、公に対する技実を果たそうとする、キエルとハリーのドラマも見所。 一方初登場のギンガナムとその部下たちは、「戦争を知らないものたちの紛争」という基本設定にそった、悪い意味での伝統芸能化しつつ繊維だけは無駄に高い無能集団として描かれていますが、最後の的としては力量不足で、その点がシリーズ全体を通して残念な部分であります。
テレビ本放送直前は、第一話のみ見た富野監督の前作『
ブレンパワード』の悪印象があり、ほとんど期待していませんでした。
しかし、第一話を見てみると、モビル
スーツの活躍は無きに等しいに関わらず、その叙情的なストーリーの流れや、説明じみた台詞が無いにも関わらず的確に描かれた物語の舞台などに、強く惹かれました。
そして第二話以降の神事とターンエー出現、月と地球のカルチャーギャップ、そして視聴者仲間同士で笑いながら見ていた、事あるごとになんだか恥ずかしい目にあっているロランなどのユーモア描写。
面白い、面白い。
本書は太田出版『コンティニュー(現在休刊)』誌に過去掲載されたゲーム制作者インタビューを一冊にまとめたものです(ただし、田尻智氏など何名かは掲載されておりませんのでご注意ください)。
『コンティニュー』は、過去のゲームに焦点をしぼった特集を組んだ雑誌として2001年よりスタートした季刊誌(創刊当時)でした。同出版社より以前刊行された『超クソゲー』のライターによる、面白おかしい語り口の過去ゲームレビューが特徴であったと記憶しています。
特に『コンティニューVol 1』の小見出しとなった『メタルブラックを創った男』は非常に強いインパクトがありました。雑誌としてのスタート特集がそれで大丈夫なのかという意味で、です(笑)。
メジャータイトル『ストリートファイターII』を取り上げるにしても『春麗を描いた男 あきまん(安田朗)』といった風に、当時誰の目にも印象が残った人物ではないものの「後の人生に影響が出るほど強烈な衝撃を受けた者もいた」そんな仕事をした人、という選抜の仕方が絶妙でした。
現在であればネットで検索可能な情報も、当時は知る機会が少なかった為、こうした特集は非常に有り難かったです。おそらく、現在のウィキペディア記事も情報源が「このインタビュー」であった可能性もあるでしょう。
ご購入時の注意点としましては、元になった記事自体が数年以上前の古いものである為「情報源」として本書を購入しようと思った場合は、購入者のご期待に添えない可能性があるところでしょうか。しかし本書の見どころは、やはり「当時のインタビュー記事であること」なのです。この10年、かつてのゲーム産業は勢いを失い、据え置き機から携帯機、更に
ソーシャルゲームへとユーザーの嗜好も変化しました。このインタビューはその渦中における作り手たちの心境がよく表れているのです。
本書の「読みどころ」は、かつての少年達が憧れるほどの「モノを創ってきた人達」が時代の変化に苦悩している姿や、新たな時代(インタビューの時系列でいえば現在)に向けて奮闘する姿勢の部分にこそあると私は思うのです。