が鋭いです。かくいう自分も落ち込んでいるのにもかかわらず外出しなければならない時にはマスクが手放せません。多くの人に読んで欲しいです。

　プロのインタビュアーたちを相手に、フリーライターの著者が他人の話を聞くコツをたずねる、という企画のインタビューを一冊にまとめた本。私には、おもしろくて、ためになった。

　なにより、黒柳徹子、田原総一朗、ジョン・カビラ、糸井重里、小松成美、吉田豪、河合隼雄、石山修武、松永真理、匿名の警察ＯＢ、という10人のプロの顔ぶれが個性的で錚々たるもの。興味はつきない。

　それぞれの達人たちの奥義が傾聴に値するものであると同時に、読み進むにつれて、スタイルの差異とノウハウの共通項がおのずと浮かびあがる構成となっている。これは、人づきあい、ビジネスの現場などで、具体的に幅広く応用が効く内容といえるのではないだろうか。

　今回、単行本の『話を聞く技術！』（2005）を改題して文庫化するにあたって、新たに書き足した「文庫版あとがき」で、著者自身のインタビューの流儀と心がまえを紹介している。

ジョハリの窓。自分と相手が知っていることと知らないことを区分する。
今話している内容が、４つのうちのどの枠かがわかれば、次にどうすればいいかがわかる。
当たり前のことが、あたりまえでないところが問題なのかも。
平面的な解決法ではなく、立体的な解決方法の示唆もある。