長年バンドを支えたジェイソン・ニューステッド(Ba)の脱退後、「St.Anger」アルバム完成までのメ
タリカを追ったドキュメンタリー。メンバー自身の意向により撮影されたフィルムだという。
レコーディング風景、プライベート映像、そしてセラピストを交えてのディスカッションという3つの場面から構成されており、特に面白いのがディスカッション部分だ。
フィルムの序盤で、なかなかモチベーションの上がらないジェームズ・ヘットフィールド(Vo,Gt)と、それに苛立つラーズ・ウルリッヒ(Dr)、そして一歩引いて傍観者的な立場をとるカーク・ハメット(Gt)という3者の立場が明らかになる。
数回行われたディスカッションの中で、互いに言いたい事を飲み込んだまま、なんとかアルバム完成というミッションに集中しよう、という努力が図られるが、徐々にジェームズとラーズの対立が決定的となる。
結局、ジェームズはアルコール依存症のリハビリ施設に入所してしまい、フィルムの中盤では不在となる。(入所期間は約1年に及び、その治療過程は撮影されていない)
ジェームズ復帰後も人間関係の問題が解決したわけではなく、セラピストやプロデューサーのボブ・ロックの助けも借りながら、長年メンバーが内に秘めていた感情を吐き出し、少しずつ歩み寄っていくというメ
タリカ再生の軌跡が撮影されている。
このフィルムで最も大きな変化を見せたのがジェームズだ。
少年期に両親の離婚、母親の死を経験し、人間不信の傾向があること。その狭量さからジェイソンのサイドプロジェクトを許容できず、彼を脱退に追い込んでしまったこと。マッチョを装っているが元々はナイーブな性格で、メ
タリカのフロントマンという重責に耐えるため、長年酒に溺れて二日酔いでステージに立っていた事などが次々に暴かれる。
彼はリハビリによって自分の弱さと向き合い、立ち直ることが出来たわけだが、その結果として「治療優先、家庭優先」というスタンスを明確にし、レコーディングへの参加を1日4時間に限定する、と決めた。
これに怒ったのがラーズだ。彼は自他共に認める「仕切り屋」であり、長年メ
タリカを引っ張ってきた立役者でもある。ジェームズの精神的な問題でレコーディングに制約がつくことに我慢ができない。「俺はずっとメ
タリカのために頑張ってきたのに、なんでジェームズはいつも自分勝手な理由でバンドの足を引っ張るんだ!」というわけだ。ついにジェームズに顔を近づけて「F**K!!」と彼を罵倒する。この瞬間、ジェームズの体が一瞬ビクンと反応するさまは実にリアルだ。
そこからどうやって関係を修復していったのか、それは限られた字数では言い表せないので、ぜひ実際にフィルムを見ていただきたい。
結果的に彼らはお互いを理解し、尊重することで以前よりも強固な絆を手にした。
例えば、かつてはラーズとジェームズが曲をまとめ、カークとジェイソンに指示するだけだった制作スタイルから、全員が歌詞からアレンジにまで平等に意見を出し合う、より民主的なバンドへと変貌を遂げた。
このような変化の中で、「仕切り屋」ラーズの不満が爆発する過程もあるのだが(アルバム
タイトル決定会議では、彼の意見が却下された)、彼も徐々に新しいメ
タリカのあり方を受け入れていく。
終盤で見せるジェームズの晴れやかな笑顔や知的なまなざしは、視線も虚ろだった治療前の姿とは別人のようだ。メ
タリカ再生の過程は、彼自身にとっても再生への道筋だったのだろう。
メ
タリカの3D映画、スルー・ザ・ネヴァーはただのライヴドキュメンタリー映画ではない。
デイン・デハーン演じるところの下っ端ローディのトリップが「バンドの大切な荷物を積んだ車がガス欠で止まった。ガソリンを届けてこい」との命令を受けて会場を飛び出し、その途中で自動車事故に遭うところから非現実的な世界の幕が開くわけですが、こうしたストーリーもイマジネーションをくすぐる。
不気味な演出とヴァイオレントな演出も迫力満点。
殆ど表情と身体の動きだけで演技するデインもいい。
冒頭ではメ
タリカの4人のメンバーもそれぞれ本人役を演じている。
しかしそれでもやはり一番の見所はライヴシーンで、過去のツアーで使われたほぼ総てのプロダクションが当時よりもスケールアップした形で再登場したり、ビッグになる前のアルバム
ジャケットのアートワークをモチーフにした新たなプロダクションが登場したりする余りの豪華さに圧倒される。
4人のメンバーと演奏とパフォーマンスが素晴らしく、30台ものカメラが駆使しただけあって、あらゆる瞬間が克明に捉えられている。
「こんな風にプレイしていたのか」と新たな発見もすることでしょう。
ジェイムズ・ヘットフィールドのクールな振る舞いやラーズ・ウルリッヒの暑苦しい表情(笑)も最高です。
そして遂に4月2日、ポニーキャニオンよりDVD/BDの発売となった。
その興奮を是非ともTVの前で体感してほしい。
あくまでも通常版でのDVD/BDは2Dとなるが、豪華版BDには2Dと3Dの二枚とグッズがついてくる。
デザインがとってもかっこよくて主人も喜んでいました。
映像はメ
タリカライブに織り込んでスポット的に
かなりダークなシーンがあり、ちょっとした
サイコホラー的部分もあるのが予想外でしたが、
物語というよりも、ライブステージのセットに見ごたえ抜群でした。
メンバーも突然のハプニングが起きた時の演技も
普段なかなか見れない姿にとても魅力的で気に入っています。
とにかくステージのスケールの壮大さに圧倒されます。
ライブはもちろん、かっこよかったです!