禿鷹狩り〈上〉―禿鷹〈4〉 (文春文庫)
近年の逢坂さんの作品は、御茶ノ水警察署や重蔵始末のような軽くて楽しく
読めるシリーズはとても元気なのに、スペインものや公安もの、岡坂
神策もののような、シリアスで甘みのないタイプのシリーズが今ひとつ
元気が無いイメージがあり、以前からのファンである自分にとっては寂しい
かぎりであった。
そんなイメージを払拭した作品がこれ。相変わらず何を考えているか分から
ない悪徳刑事禿鷹こと禿富鷹秋に渋六の水間や野田がまたまた振り回され、
南米マフィアのマスダとの闘いになだれ込んでいく。ここまでは今までも
そうだった、が、味方である警察の中にも、露骨に禿鷹を敵視しながら行動の
意図が見えない岩動や、掴みどころのない性格の嵯峨といった新キャラクターを
配置したのが大成功。これらのキャラクターが立っている。なかなか一筋縄で
はいかない味方や敵がいると、それだけ孤軍奮闘する主人公禿鷹の闘い方に
読者は感情移入してしまうわけで、緊張感がぐっと増した。
この緊張感が途切れないまま、物語は驚きの展開を見せ、ある人物のモノロ
ーグで終わる。これまでの逢坂さんのサスペンスのように、思わず読んだペー
ジを読み直してしまった。登場人物を存分に動かし、主人公を活躍(暴れ)
させ得たこの作品は、逢坂さん久し振りの快作であると断言したい。
この作品における脚本、演出は乱暴に過ぎます。荒唐無稽な精神鑑定、考えられない大病院の杜撰なセキュリティ、実際にはあり得ない警察の捜査と捕り物、脳の障害についての説得力のない解説等など。この辺りがもっと丁寧に描かれていたら優れたサスペンスに仕上がっていたかもしれません。とはいえ、まったくの失敗作かというと、そうでもないのです。ラストまでなかなか
面白く観ることが出来ましたし、それなりに評価したいのです。ですから尚更、秀作にもなっただろうに惜しいなあ、と思ってしまうのです。
さまよえる脳髄 [VHS]
この作品における脚本、演出は乱暴に過ぎます。荒唐無稽な精神鑑定、考えられない大病院の杜撰なセキュリティ、実際にはあり得ない警察の捜査と捕り物、脳の障害についての説得力のない解説等など。この辺りがもっと丁寧に描かれていたら優れたサスペンスに仕上がっていたかもしれません。とはいえ、まったくの失敗作かというと、そうでもないのです。ラストまでなかなか
面白く観ることが出来ましたし、それなりに評価したいのです。ですから尚更、秀作にもなっただろうに惜しいなあ、と思ってしまうのです。
兇弾 禿鷹ⅴ (文春文庫)
禿鷹シリーズは好きで文庫でずっと読んでいました。前作で禿鷹が死んだ時
正義の味方が出てこないこのシリーズを好きだった私はがっかりしておりました。
禿鷹のクールで悪徳なキャラは代わりの登場人物では埋めきれませんでしたが
ストーリーはなかなか面白かったです。
あの悪徳の禿鷹に迷惑をかけられつつも、変なシンパシーを感じていたのか
手を組んで復讐に動くという設定が良かったです。
あと、唐突にメインステージに登場の禿鷹の妻。魅力的でした。
裏帳簿の奪い合い、悪徳な警察関係者の暗躍。
面白かったです。
ただ、やっぱり一味足りないのです。
時代を遡って禿鷹を生き返らせてほしい・・・と思うワガママな気持ちが強くなりました。
おれたちの街 (集英社文庫)
待ってました!な御茶ノ水署シリーズ4巻。
警察小説だけど殺人の起こらない、肩の凝らないユーモアミステリー。
今回は新キャラ立花も加わり、斉木・梢田・五本松との絡みも上手くて始終笑いが絶えない展開に楽しい一時を過ごせました。
単品読みでも充分楽しめますが、シリーズ1から読むともっと楽しいですョ!
(シリーズ1〜3は文庫にもなっています)