意外と普通の音だった。コンセプトアルバムの様だが♀Vがなかなか清楚感と裏腹な暗さが有り合っている様だ。凍付いている景色が明るめに浮かぶ。もう一つ陰鬱さというかほの暗さが漂えば申分ないのだが‥
ブッカー賞はやはり英文学の最高峰の一つであって、我々ネイティブでも専門家でもない人間には難しい部分があるな、ってのを痛感させられた作品でした。中には分かり易いのもありますけど、この作品は正直言って、私には大変でした。
アイルランド人であるAnne Enrihgtが、アイルランド人の目でアイルランド人のことを書いた小説です。9人兄弟の真ん中くらいで生まれた普通の中年のおばちゃんが、亡くなってしまった一つ年上のお兄ちゃんの亡骸を引き取りに行き、そして家族が集まって彼のお葬式をするというお話。お兄ちゃんは飲んだくれでラリパッパで、死んだって仕方のない野郎だったけど、でも彼の死にはもっと別の深い深い理由というかきっかけがあって、それを知っているのは一つ違いの妹で、小さな頃お兄ちゃんと一緒にお祖母ちゃんのところに預けられていた私だけなんだよ、という具合に追憶が続いて行きます。とても重苦しくて暗い話。兄弟もまともじゃないし(主人公は比較的まとも)、親も、祖父母も、叔父さんまでもが変梃りんでどこかにひっかかりがあって。それがどうしてこう見事に、話全体としては最後に、「前向きな生」というものを力強く謳い上げて行くのか。「ブッカー賞作品だから」無理してひいひい言いながら読み進めていただけなんですが、結局は最後に熱く胸を打たれて「やっぱブッカー賞なんだ」としみじみ思わされてしまいました。
素人の英文学フリークとして、たくさんの作品を読んで来たつもりの私ですが、アイルランド人の「英国人はこうだから」と言う呟きを聞いたのは初めてで、余りピンと来ませんでした(英米の違いなんてのはよくあるけどね)。凄い作品ですけど、読むなら頑張って下さい。素人の触れるレベルにはないと思います。
「時の
車輪」シリーズ第12部。
作者の死を超えて書かれた続編です。
シリーズも最終盤と言う事で、バラバラになったメインのキャラクターたちが、それぞれの地でそれぞれの役割を果たしてゆきます。
特に、今回の「飛竜雷天」ではエグウェーンによる「白い塔」の再結集が大きなイベントになります。
どうやって統一の話をまとめるのか、非常に興味深かったのですが、その展開は見事でした。
そこで語られるエグウェーンの言葉や演説も素晴らしく説得力がありました。
その一方でアル=ソアは、情を超えた存在になろうと冷淡な行為を繰り返すのですが、感情を完全には抑えきれず苦しみます。
波乱万丈の長編は、主人公たちのキャラクターが生き生きと躍動し、一気に読ませる作品になっています。