昨今は韓国の「これでもかっ!」っていうくらいの悲しい出来事が次々と起こる純愛物語が人口に膾炙しておりますが、ここいらで一度日本の純文学にも目を向けてみませんか。
前半は物語が粛々と進み、韓流に慣れてしまった読者には物足りないかも知れません。実際私も途中で読むのを止めようかと何度か思いましたが、最終章の「葬婚歌」という耳慣れない、でも何だか悲しいことが起きるんだろうなぁということを期待させるサブ
タイトルが気になって読み進めました。するとどうでしょう、後半、戦争が生んだ悲劇が語られだしてから、まるでアカデミー出版の本のように次の展開が気になってしまい、最後まで一気に読んでしまいました。
この小説は、一般的には「男女が大きな身分の差を乗り越えて愛を成就するというストーリー」と寸評されるかも知れませんが、底流には貧農出身の大江の実体験が生みだした反戦と反封建主義(あるいはプロレタリアートの悲痛な叫び)の思想があるに違いありません。
原作大江賢次の意図は良くわかりませんが、映画では身分差別に対する強烈批判がテーマのように思います。もっとも西河監督の意図が色濃く出ているのかもしれませんが...(伊豆の踊子でもでていた)和泉雅子の小雪も見てみましたが、山口百恵のそれが勝っているように思います。西河監督(二度目)の演出の差にあるのかもしれませんが、(ちょっと視点違うけど)舟木一夫よりも三浦友和がずっと良かったのでそう思うのかも。
この作品、たくさん泣きたい人は、絶唱 DVDを見ることをお勧めします。時間があれば他の作品と比べてみると面白く、女優山口百恵の天才を感じられる初めの作品と思います。