故・加藤寛先生は小泉純一郎氏の師匠であり、国鉄民営化の中心人物であり、小泉内閣のブレーンであった。 今年1月30日に急逝されたが昨年から「即座に原発はなくすべきだ」と強く主張されていた。 これは加藤先生の遺言ともいうべきものであり、小泉氏もその影響を受けたと思われる。 本書はその加藤先生の主張が明確に述べられ、とてもわかりやすかった。
心のケアという言葉には、医療行為から隣人の見守り活動まで、幅広い次元が含まれる。 この本は、東日本大震災直後から2011年8月にかけて、「心のケア」がどのように行われたか、被災のもたらす心理的な影響を紹介する。次に、阪神淡路での知見と事例、支援者支援の目線と兵庫県心のケアチームの活動ルポと、多岐にわたる内容である。 インタビューを中心にした柔らかい話口調で、説明もよく噛み砕かれており、専門家ではないけれども被災者支援に関わるであろう人を意識して書かれている。 ここに書かれていることは、阪神淡路から災害支援に関わり続けてきた人が、阪神淡路のときに知っておけばよかったと思うことである。 命の安全や安心が確保されるのが一番。命の危機を感じている間は、安心できるわけがない。落ち着けるわけがない。必要とする時間には個人差があるとしても、7割の人は回復する力を持っている。みんながみんなに専門的な治療が必要になるわけではない。そういった、災害支援に関わってきた医療者の常識が惜しみなく、かつ、もったいぶらずに語られている。 まだ、たったの一年だ。今後にも役立つ、今だから役立つことも多いと思われる。これが専門家にとっての常識から、日本人の、世界の災害に出会う危険性を持っているすべての人、すべての隣人の常識になればいいなぁ。
目先の利便性、損得につい目を奪われますが、構造の本質を見る重要性を感じます。
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