レーザーディスクで発売されたものは画質が悪く,常々不満でしたが,DVD版はかなり改善しています。オードリーの美しさが再認識できますし,オードリーとジョージ・ペパードが歩く
ニューヨークの街並みは本当に美しい。初めてご覧になる方よりも,むしろビデオやレーザーディスクで既に本作品をお持ちの方にお勧めしたいDVDです。
あまりにも有名なヘップバーンの代表作。原作と読み比べると面白いと思います。明け方の
ニューヨークの街、ティファニー宝石店の前でパンをかじる冒頭のシーンは映画のオリジナルで、小説では「たとえティファニーで朝食をとるような身分になっても、自我だけは捨てたくないわ。」というヒロインのセリフが出てくるだけ。ラストも映画とは違って、かなりドライな結末を迎える。原作はヒロインを通して人間の自我と言うものを見つめたシリアスな内容ですが、60年代の
ハリウッドマジックによって、洗練されたロマンティックな映画に仕上がっています。今見ると多少の古さを感じるものの、ティファニーをはじめとするグレイハウンドのバス停や、セントラルパークなどの
ニューヨークのロケーションの素晴らしさもさることながら、「キャット」という
猫やインクリボンなど小道具の使い方もおしゃれでした。その中でとりわけ粋なのは、クラッカージャックという水兵か何かの絵がついた、
キャラメルをからめたポップコーンのお菓子についてきたおまけの指輪に、ティファニーで名前を彫らせるエピソードです。日本でいうグリコのおまけみたいなものでしょうか?よく考えると結構きわどい話なのに、それを感じさせないのは、ヘンリー・マンシーニの音楽と、何よりもヘップバーンのキュートな魅力のおかげでしょう。彼女の美しさが絶頂にあった時期に、作られるべくして作られた名作だと思います。