たまたま見たTVのブックレビューで、この本のことを知り、購入して1日で読み切りました。私の家族には被爆者はいませんが、小学校3年生から高校3年までナガサキの浦上地区で暮らし、30歳になってまた長崎市内に戻り、今でも暮らしています。小さい頃から、私の周りの大人は被爆者やカトリック信者ばかりで、珍しいものではありませんでした。いつのころからか「怒りのヒロシマ、祈りのナガサキ」という言葉に疑問を持ち、長崎原爆が「偶然の重なり」であったことも知っていました。長崎市民であれば誰でも「二度と原爆が使われてはならない」という思いは身体と心に自然に染みついています。でも長崎を一歩出れば「平和問題一般。あれこれの戦争被害のひとつ」という感覚に戸惑ってしまいます。
この本を読んで、名前や顔を知っている人が満載で、子供の時からの疑問の糸もつながりました。カトリック教会にも他の多くの宗教と同じようにある「戦争協力」という苦い過去にふれられたら、もっと深まったのかも・・・
明らかに、ある大きな意図が働いて、「もう一つの原爆ドーム」は消されたと思います。あの遺構が残っていれば、ヒロシマドームと並んで長崎にも原爆被害があったことを証明し、世界に対する平和のメッセージになったと思います。転げ落ちた鐘楼を見る度に残念でたまりません。
よく
調査された著者の執念に感服するとともに、なぜもっと早く(真実を語れる人がいるうちに)
調査する人がいなかったのかとも思いました。みんなに勧めたい本です。