ある国を紹介する場合、紹介者のその国に対する個人的好悪が反映されがちであるが、本書はその類の紹介本ではなく、学問的な
アルメニア紹介の書となっている。本書では、これまで光をあてられることがなかった
アルメニアという小国について、その歴史、文化、隣国との闘争(トルコによるジェノサイドなど)について、詳しくかつ客観的な説明がなされている。本書の素晴らしさは、
アルメニアを知らない人に偏った先入観を抱かせず、またすでに既知の読者には、読者が感じている疑問を解き明かす手助けとなるような情報が満載されていることである。
アルフレッド・リードの『
アルメニアン・ダンス』の第1楽章や第4楽章をコンクールの自由曲として聴くことはありますが、全曲をまとまって聞くことはほとんど無いので、このアルバムの価値はその意味でも大きいと捉えました。
佐渡裕の熱い指揮者魂がストレートに感じられます。シエナ・ウインド・オーケストラも、指揮者の意図をくみ取り、これ以上ないという限界まで吹きならし、壮大な曲を一気呵成に演奏していました。圧倒的な迫力でリスナーを釘づけにする演奏はそうないでしょう。
元の素材の
アルメニア民謡のメロディや旋律に負うところもあるのでしょうが、偉大な作曲家アルフレッド・リードにとっても代表作なのは間違いありません。リーフレットの解説を記した富樫鉄火氏は、1997年のシエナの演奏を聴いた作曲家リードが「終演後、興奮覚めやらぬ様子で佐渡の楽屋を訪れ『いままで聴いた中で最高の演奏だった』と絶賛している」というエピソードを披露していますが、その情景が伺えるような演奏でした。2004年12月20日に
横浜みなとみらいホールで収録されたものです。
カッ
プリングのアダム・コーブ作曲「メトロポリス」でもシエナの演奏技術の卓越性を聴き取りました。パーカッションが大活躍する曲で、バーンスタインのウェスト・サイド物語を彷彿とするような
ジャズ・サウンドが炸裂する曲です。
ジャズのリズムと和声の要素が強い難曲ですが、聴く側に取って見ればこんなに活力に満ちて変化に富んだ楽曲はそうありません。シエナの優れた管楽器奏者はもとより打楽器奏者各人の実力の高さが如実に感じられる演奏でした。『
アルメニアン・ダンス』に付けたしたような曲ではなく、このアルバムの掉尾を飾るに相応しい選曲と演奏だったと高く評価しています。2006年12月22日に
横浜みなとみらいホールでのライヴ演奏でした。
「地球の歩き方」に詳しく紹介されていない地域の旅の楽しさを伝えてくれる年2回発行の旅行雑誌「旅行人」ですが、このコーカサス特集は特にお勧めです。
アルメニア、アゼルバイジャン、グルジアが取り上げられていますが、やはりグルジアの記事が一番良かったですね!ヒンカリやハチャブリを食べ歩きながら、トビリシからカズベキまでの軍事街道の自動車旅をまたしたくなりました。グルジアは本当に不思議な魅力のある国でした。
小説家になることを目指している
英語教師であるマイルスとその親友であり結婚式を控えるジャックの中年男二人のロードムービー。
この作品の大きな魅力の一つとしてマイルスとジャックの性格の対照性があげられる。
マイルスは知的で、内向的、女に奥手でどこか情緒不安定である。
一方ジャックは明るく、女好き、本能的で後先考えず行動するおバカなタイプである。
ジャックのこの良くも悪くも積極的な性格が物語上の振り子として機能しつづけているため観る人を飽きさせない。
家にこもるのではなく、旅に出て、いろいろな人と出会う。
人生はさまざまな経験をすることで人として熟成され魅力的になる。
旅っていいな、酒っていいなと思わされる作品、ワインを飲みながら観るのがおすすめ。