桂離宮を扱った写真集はお高いのが多いのですが、これは比較的安くてかさばらず(狭い住まいではこれ重要)、芸術
新潮を出している
新潮社のとんぼの本らしく、芸術的考察もあります。
参観では非公開の書院内部を含め、優れた写真が一通り載っています。
写真が主で文章は多くないですが、歴史、見どころなどの基本的な解説はあり、十分だと思います。
書院、茶室の平面図が掲載されているのも長所です。
表記の他に森蘊、井上章一などの文が掲載されています。しかしなぜか井上さんの文は芸術
新潮からの再掲で、
『つくられた桂離宮神話』 に関する言及が参考文献等にもありません。大人の事情でしょうか。
おもしろくて、いっきに読んだ。親本の刊行時に建築史学会からことごとく無視されたという、文庫版のためのあとがきも傑作。
学会なんてのはそんなものです。
ぼくの友人は民俗学の論文が「高卒だから」と学会に受け入れられなかったのに端を発して、40代でとうとう東大大学院を出て、今は大学教授に。
ちなみにぼくが
日光東照宮を訪ねたのは、この本もブルーノ・タウトも知る前だったが、「われわれ日本人の感性には合わないのではないか」という疑問を抱いた。少なくともぼくとぼくの友人たちは「二度と見たくないね」と意見が一致した。
桂離宮参観は事前申込制だ。なかなか抽選に当たらないので、参観の機会を得ていない。
「とんぼの本」の写真集でみるかぎり、素晴らしいの一言に尽きるが、実際に目にしないうちは保留としておくのが正しい姿勢だろう。