日本文学史上に残る名作です。 しかし、この本は誤解を受けやすい。なぜなら、この村は作者深沢七郎の創作であって、ひとつのお伽噺と読まれてしまいがちだからである。老人病院や老人ホームの現状を知る方なら誰でも、この話は現代日本において紛れもない現実の話であることはすぐに了解できるだろう。 当時アンチ・ヒューマニズムの作家と考えられていた深沢の本作が、現代における「姥捨て」を考えるきっかけになる、という意味では、まさしく50年が経過してこの作品の位置づけは変わったのである。 それはそうと、この作者の「風流夢譚」、もう世に出ることはないのだろうか。何らかのかたちで復刊を希望したい。
深沢七郎が中央公論新人賞をとった「楢山節考」を原作にした作品です。 で、見ていて一番気になったのは、この村人達は本当に食うのに困っているのだろうか?ということです。食い扶持を減らすため婆さまを遠くの山に捨てに行く、という棄老伝説を題材にした話にしてはそこまで村の人たちは困ってないんじゃないの?という感覚が抜けませんでした。 原作に書かれていたエピソードは忠実に描かれていて普通に見れました。あとは今村監督の脚色なんでしょうか?原作にないものもけっこうあります。 最後の、緒方拳が自分のおっかあを楢山に捨てに行き、帰り際雪が降り、そして思わずおっかあに向かって叫ぶシーンは、原作と同じく、なみだ滴ります。
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