敗戦後、一世を風靡した「ブギの女王」こと笠置シズ子の歌声が満載です。
1947年にリリースされ、彼女の名声を決定づけた「東京ブギウギ」のパワフル感。「おっさん、おっさん、これなんぼ」と、オール
大阪弁でラップのような斬新さの「買物ブギー」におけるリズム感。笠置の歌とコーラスとが絶妙な掛け合いを聞かせる「ヘイヘイブギ」のノリの良さ。世界の黒澤が作詞した「ジャングル・ブギ」の並外れた歌唱力と表現力・・・・
笠置の歌は、今聞いても新しい。無論彼女と組んだ服部良一の音楽も現代性をもっていますが、その斬新な曲を今から70年近くも前に、歌いこなせたという事実が素晴らしい。
戦後の大衆音楽は旋律よりもリズムを重視するようになり、ステージも東海林太郎のような直立不動から振付中心の視覚的なパフォーマンスが主流となりますが、その嚆矢が服部良一の音楽と笠置シズ子の歌声でありました。敗戦の痛手を受けた人々は「ブギウギ」によって元気づけられ立ち直っていきました。
昭和30年代に笠置シズ子は咽喉を痛め、太りはじめたこともあってステージを引退、以後は女優活動に専念します。昭和40年代の懐メロブームで幾度もカムバックを勧められますが「ブギが踊られへんので、ワテ出まへん。」と最後まで断り続けました。まさに一時代とともに駆け抜けた歌手でした。
だが、彼女があればこそ、美空はもちろん。今を時めく面々―浜崎あゆみも安室奈美恵、EXCILEもAKBも存在しえたのではないか。
まさに現代の音楽シーンの原点であります。