先年、国内を芥川氏の遺品や原稿が回ったようで、ストリンドベリイという書き込みがあったりして面白かったのを覚えています。
やさしい人柄をコトバで活写するのは難しくて、今まで親族の書いたものよりほかに温かな陽光のようなものを感じたものはありません。
このマンガは、切り絵のような、輪郭のしっかりした画風で、作家の日常も、プロとしての芸術家の世界もどちらもほのぼのと
タッチの中に包み込んでいるようです。
奥さんのフミさんなどかわいい感じになっていて、こうなると作風にそなわった「徳」みたいなものです。
これからのことはいよいよ不可ません。よくないことがたくさんあります。
でも、できれば読んでいて心に残るものになってほしいと思います。
町の住人の日常を描いた短編集。
普段何気ない出来事も、どこか心にしみてくる。そんな感じの話です。
各話、主人公は入れ替わっていますが、他の話で出てきた人物がひょっこり出てくるので、同じ町(単行本一冊)の箱庭の中で住人達は生活しているんだなと思わせてくれます。
雑誌連載は隔月なので前の話の設定などいちいち覚えていなかったけど、1冊通して読むと、町にやってきた青年、迷子になった
猫、絵描きの爺さんなど、うまくザッピングしているのがわかります。
人生のほんのひととき、本書を一読して道草してはいかがでしょうか。