かーかん、はあい 子どもと本と私 (朝日文庫)
朝日新聞に連載されているエッセイをまとめたものです。
歌人の俵万智さんとお子さんのやりとりがとても面白い。
「自分の子どもが読んだら、どんなことばを発するのかな?」と
ついつい紹介されている本を買ってしまうのです。
毎回新聞記事はスクラップしていますが、本になって、五味太郎さんの挿絵も
新聞掲載時より大きくのっていて、満足しています。
ぜひ続編も希望します。
故郷、日本をうたう
声に人生の凝集が発露されている。早速知人に紹介したところです。
著書の「ウイ―ン わが夢の町」も図書館より取り寄せ、納得したことです。
シューベルト「冬の旅」のフィーシャー,デスカウにも比肩されよう。
サラダ記念日―俵万智歌集
はずかしいことに、この本を読むまで、短歌って、もう、だれもやっていない文学だと思っていた。
たしかに、高校の教科書には、昔の歌人の歌が載っていた。
でも、まさか、この現代でも、現代のことばを使って、現代の感覚を短歌で詠っている人がいるなんて、思いもしなかった。
それに、短歌をするために、安定した教師という職を辞めてしまうなんて。
そんなことって、ほんとうに、あるんだ、と思った。
信じられないが、ほんとうだ、ということはあったのである。
ぱらっと、ページを開けると、そこは、あたり一面、才能のきらめきの世界だった。
まるで、雪の朝、窓を開けた瞬間のように、それは、新鮮な空気を、ぼくに送ってくれた。才能のきらめきが発する光に、目がまぶしかった。頭も、くらくらした。
ぼくは、まねして、いくつか、歌ってみた。
読むのと、つくるのとは、大きく違うということに気づいた。
自分に手の届かない世界が、また、ひとつ見つかって、ぼくは、悲しくなった。
努力では補えない、短歌のむずかしさを知らなかった、自分が、今でもはずかしい。