12月生まれの少年 ③ (バンブーコミックス )
施川ユウキが月刊誌「まんがライフオリジナル」で連載していたギャグ4コマ漫画の完結巻。3巻目になるが、ストーリー型でなく1話読み切り型であるためこの巻から読んでも問題ない。
ざっくりした印象を書くと、「子供特有の世界に対する見方・考え方を、大人が咀嚼し直すとこんなに面白くなる」といった感じ。
主人公の柊が、「黒脇」という表札を見て「この人は『クロワッサン』というアダ名で呼ばれているのか・・・?」と思いを巡らしているだけで6ページ描き切ってしまう箇所は圧巻。
次から次へと想像のつかなかったオチが続く。
少年が主人公のギャグ4コマ漫画ゆえに恋愛要素は強調されて描かれなかったが、最終回で一転する。いや、最終回においても恋愛要素は
隠喩的に描写される程度なのだけれど、絶妙な描写とモノローグにより「この漫画は実は恋愛漫画の一形態だったのだ」と思い直させられた。
作者の施川ユウキは『がんばれ酢めし疑獄!!』『サナギさん』などアクの強い作品を描くため好みが分かれたりもするが、
この『12月生まれの少年』は万人に薦められる作品だと思う。
ちなみに「まんがライフオリジナル」ではこの作品は完結したけども、施川の『すべての映画は、ながしかく』という
映画批評コラムはまだ続いている。この作品も映画化してほしいなあ。
ハナコ@ラバトリー(2)(完) (CRコミックス) (CR COMICS)
新ジャンルとも言えるほのぼの幽霊ストーリー、堂々の完結です。
施川さんの独創的なシナリオと、秋★枝さんのきれいな絵が非常に素晴らしかった。
短編集ということですが、どれもが思わず感嘆してしまうような話ばかり。
そしてラストは「何故主人公がトイレの花子さんなのか……」という核心の種明かしもあります。
特にこの回は花子さんという、知名度の高いキャラクタを利用しながらも、矛盾なく、そして感動できる話となっており、買ったその日に何度も読み返してしまいました。
出来ればもっともっとこの作品を読みたかったという思いもありますが、ここまでスッキリと完結させたことに感服しています。
全てにおいて文句なし。
☆5つです。
ハナコ@ラバトリー(1)(CRコミックス)
私は施川ユウキさんの漫画のファンです。特にサナギさんの。
ハナコ@ラバトリーを一読した印象は、サナギさんの最終話の雰囲気を全話に持ってきた印象でした。
知的好奇心を満たしつつ、脱力するようなギャグをまじえ、最後にうまくオチています。
絵は萌え系?ではありますが、なぜかキャラクターに性的魅力は感じられません。
作画の秋枝さんなりの、コマの書き込みによる演出が加わって、より一層心あたたまる雰囲気が作られています。
ほんと良作だと思います。オススメ。
個人的にはLav.4@ピッチャーが感動しました。