万里一空
「晩夏」においては、交錯する2つの疑似恋愛の中で、主人公は誰も傷つけずに2つの思い出を選択する。失うことによって得るものもあるんだと強く感じた。「ナコンサワン」においては、現実逃避した主人公がタイの田舎町での希少価値から、様々な経験をしながら再生していく姿が面白かった。タイにも興味を持つようになった。マイナスの選択の中でも、人間は何かを学び、成長していくものだと思った。また、「空を道として生きる」という筆者の考えに共感できた。
五輪書 (講談社学術文庫)
なんと丁寧な本。
武蔵の残した文章は「五輪書」以外にも「兵法三十五箇条」、「独行道」が、この書におさめられ手いる。
『「五輪書」を読むにあたって』 という約30頁の解説は、著者の宮本武蔵研究の成果であり、参考文献も載っている。
司馬遼太郎の『宮本武蔵』(朝日文庫)のように、生き生きと迫ってはこないが、やむを得ない。
著者の誠実さが伝わってくる。
「五輪書」は、注釈だけではなく、全訳してくれている。
宮本武蔵とその兵法に関しての 貴重な資料集である。