アリアドネの弾丸(下) (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
一連の桜ノ宮クロニクルの中で、もっともミステリーらしい形態の作品です。小説としては最上級品、ミステリーとしては上級品というところでしょうか。
アリアドネの弾丸(上) (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
海堂氏の著書としては「チームバチスタの栄光」と同じくらいの完成度がある作品です。いろいろな作品の登場人物が登場しますが、「バチスタ」と「螺鈿迷宮」を読んだ後に読むと一層楽しめるのではないかと思います。
今回の謎解きは、若干、いろいろな推理を披露する「名探偵コナン」みたいなところもあって面白かったです。白鳥−田口コンビの掛け合いも健在で、楽しめました。
アリアドネの弾丸
通称コロンブスエッグと呼ばれる縦型MRIの撮像室で、死体が発見される。事故死か?不審死か?
さまざまな人間の思惑が入り乱れる中、今度は元警察庁刑事局局長がコロンブスエッグの前で
死んでいた・・・。そして、彼を射殺した容疑が、東城大学医学部付属病院院長の高階にかけられた。
おなじみのコンビ田口と白鳥は、高階の無実を証明できるのか?そして事件の真相とは!?
72時間という限られた時間内に、高階院長の無実を証明しなければならない。しかし高階は眠った
ままで、事情を聞くどころか面会さえ許されない状況だ。乏しい状況証拠の中から、田口と白鳥は
真実を見つけ出すことができるのか?全体的にかなりよく練られたストーリーだと思う。北川局長の
死因も、MRIを熟知した作者だからこそ描けるのだと思う。司法側と医療側の対立。解剖か画像
診断か?現実にある問題も巧みに織り込まれていて、少々理屈っぽくも感じるが、なかなか興味深い
内容になっている。途中、冗長的な部分があり読んでいて中だるみしてしまったが、全体的には
よくまとめられた作品だと思う。
ナクソス島のアリアドネ*歌劇 [VHS]
モノクロモノラルながら、非常に高品質。一昨年に出た「フィガロの結婚」(同じくベーム指揮の1966年ザルツブルクライブ)をお持ちなら、あれと同等の品質と思って頂ければよい。
そう、あの「フィガロ」で最高のスザンナを歌っていたコロラトゥーラ・ソプラノこそ、この映像でも最高のツェルビネッタ演じている、レリ・グリストなのだ。
グリストのザルツブルクデピューは、前年の同作品「アリアドネ」。初演の日、聴衆は無名の新人だったグリストの大アリアに、完全に叩きのめされた。アリアが終わった時、とどろくような拍手と足踏みが沸き起こり、誰にもそれを止める術がなかった。やむなく演出のレンネルトが進み出て(オペラの途中なのに!!)、グリストにお辞儀るよう促すという異常な事態となった。
この1965年のライブは、その1964の奇跡の公演のリヴァイヴァル。グリストが大アリアの後、まるでイタリアオペラのように、一度退場し喝采に応え挨拶に舞い戻る(しかも3度も!!!)という不可解な演出は、あの偉大なレンネルトをしてそうせざるを得なかったほど、前年の反響がすさまじかったということであろう。
グリストのツェルビネッタは、明るく高くクリアで繊細で、それでいて力強く、とてつもなく美しい。そしてよく歌いよく踊りよく笑いよく跳ねよく回る。このツェルビネッタこそ、まさに人類の至宝というにふさわしい、奇跡の映像と言えるだろう。
ベームよ、VPOよ、レンネルトよ、ORFよ、そしてグリストよ、究極のツェルビネッタをありがとう!!!
チーム・バチスタ3 アリアドネの弾丸 DVD-BOX
今回は警察の方達も出てきて過去の殺人事件も絡んできたりで全体的にシリアスなシーンが多かったように思いますが、そんな中でも相変わらず白鳥・田口の凸凹コンビが面白い。田口先生が言われっぱなしじゃなくてだんだん強くたくましくなってきてるのが回を追うごとに分かります。今回のシリーズではふたりの絆の強さみたいなものがすごく伝わってきました。他のキャラクターも皆それぞれの信念を持っていて魅力的だし、たまちゃんあたりはもし続編があったらまた出てほしいです。癒し系刑事。
そしてなにより特典映像が充実しているのが嬉しい。
未公開シーン集は、「なんでカットしちゃったのもったいない!」って思えるようなシーンも収録されています。本編でちょっと結局あの人のあの件についてはどうなったの?ってもやっとしたところがあったんですが、そこがちゃんと入っていたのがよかったです。お誕生日の映像もみなさん和やかな感じでほのぼのしました。大好きなドラマです。