アメリカン・タブロイド〈下〉 (文春文庫)
アメリカ人はアメリカン・ドリームを心の底から本気で目指すよう、幼い頃から、徹底的に教育されるのだろう。限りない上昇志向ー現在でも16歳の試験で将来がほぼ決まってしまうイギリスがもつ、あきらめにも似た閉塞感を、彼らはこれっぽっちも持ち合わせてはいない。
そして「父親」という存在に異常なほど固執する。
この作品、表向きはみなさんが書かれているような、アメリカの暗黒史なのだろうが、読後僕が感じたのはこの「父性」だった。自分の父親に限らず、自分や自分のステイタスやアメリカという自分の国がもつ「父性」を彼らは追いかける。それはギャングのボスであったり、FBIの長官であったり、大統領だったりする。自らは手に入れられなかったアメリカン・ドリームを具現した彼らに、何とか取り入られよう、愛されようとする。それは幼い子どもが父親に抱いてくれーとせがむ姿に良く似ている。
これは「アメリカの子供たち」の物語だ。愛されない、受け入れられない、と気づいた彼らはものすごいスケールでの家庭内暴力を繰り広げはじめる。その負のエネルギーはどこから来るのだろう。それはアメリカン・ドリームへと彼らを駆り立てるものと正反対のベクトルをもつ、負のエネルギーなのだ。こういうエネルギーがアメリカを創ったのだなあ、と最近のテロ関連の出来事とあわせて、あらためて痛感させられた。エルロイの描くアメリカは、彼自身の愛憎の対象でもあるのだ。
TVアニメーション「黒執事II」 Black Tabloid
アニメ開始前に発売されたものなので、最初から最後までアニメオリジナルキャラであるクロードとアロイスを中心にした『トランシー家』な内容です。
アニメも終盤になってからの購入だったので、幾つかのヒントは「ああ、あれのことね」と分かる部分もあり、興味深く読めました。
ページ数は定価相応だと思います。あまり分厚いと買っただけで満足して積ん読状態になってしまう自分にとっては、短時間で気軽に読めて丁度良かったです。
Colorless
イージーリスニングに最適。特に、曲が挿入されていたドラマを見ていた訳ではないですが、風のガーデンや、ドクターコトーの風景を連想させたり、曲を聴きながら自分の気に入った景色、風景を連想できます。和らぎたい気分のときにおススメです。
タブロイド [DVD]
映像の見せ方ひとつで
加害者は被害者に、被害者は加害者になるときがある。
いろいろと考えさせられる映画。
自分の判断基準を改めて考え直そうとすら思えた。
ある事件が発端の映画だが、
さらにもうひとつの事件と交錯し、衝撃のラストへ。
ラストのあまりの衝撃に★5から★4の気分になった。
映画が悪いのではない。
ただ、あまりにもむごすぎる。
超解読 まどかマギカ (三才ムック vol.421)
私は「まどマギ」の公式ガイドブックも読んでいない人間だが、本書はその公式本も資料として取り扱いながらも、作品に盛り込まれた設定や、海外での反響、二次創作の世界すら含む「まどマギ現象」について様々な視点からうまくまとめていると思う。
この種の本は、自分なりの作品見解に引きつけた、我田引水の「評論」になりがちで、まどマギファンからすれば「偉い人が、難解な、もっともそうなこと言ってるけど、それって思い込みでしょ? 何かズレてるよな」と首をかしげたくなる場合がある。しかし、本書は敢えて「独自の考察」を盛り込もうとほとんどしておらず、「情報整理」に徹しており、わかりやすい図表も使われている。
そうした中、従来の「魔法少女もの」「ループもの」「虚淵作品」と比較してどういう位置に「まどマギ」があるのかについて丁寧に整理しているのは見逃せない。SFやゲームや古いアニメを知らない人にも大変親切な構成となっている。
終わりの方の色ずりページの魔女図鑑だけは、魔女たちが魔女にある前はどんな女性(?)だったかについて、イラストを含めて想像を膨らませた内容だが、これはこれで愉しめた。
全体として、ネットとかで、まどマギ関係の情報をしらみつぶしに読んできた人にとっては必ずしも新味はないかもしれないが、多角的に情報を吟味している(今年の夏までの情報を含む)という意味で良書だと思う。