絵画ファンの中でもマニアが多いことで知られる
フェルメールの話を映画にする、と聞いたとき、正気か、と思って見に行きましたが、これが意外なほどによかった。
当時の世界一の金持ち国だったオランダの青と黒の服装、色彩があまりに印象的。そして画面のどこもかしこも、当時のオランダ絵画の1シーンのような美しさと、不思議な緊張感に満ちています。音楽も控えめながら、場面の盛り上がりに欠かせない美しいものなのがすばらしい。
そして何より感動したのは、全編を流れる緊迫したエロスでした。
肌を見せるシーンなどほとんどないにもかかわらず、クライマックスシーンの
タイトルの絵のシーンは、かつてないほどにエロチック。
瞳だけで『語れる』役者の凄みを感じさせます。
劇場公開時、見終わった後で日本に来ていた
美術展を見に行きましたが、元の絵が見たくなる事請け合いです。
美しく、緊張感に満ちた映画ですよ。
この映画は本当に美しい。そして芸術性と娯楽性のさじ加減が絶妙で、監督の戦略家ぶりも垣間みえる。主役のグリート役を観客が受け入れるか否か、がこの作品の成否を分けたと思うが、ヨハンソンの欧米人の中でさえも際立つ白い肌は、それ自体がキャンバスのようだ。そこに微妙な感情が現れては消え、消えそうになってはとどまる。初めの30分ほどは背景の美しさに人間が負けはしないかはらはらしながら見ていたが、ほどなくそれは杞憂とわかる。この作品では人物造形もきわめて絵画的で、初めはデッサンのように淡く始まり、すこしずつ感情を積み重ねていく、という手法でその人物を描き出しているようだ。
そしてこの作品の最大の見所は全編を貫くエロスだ。そのエロスは物理的なものではなく、精神の緊張から生まれるもの。肌が触れ合うことよりも、魂が触れ合うことの方がずっとエロチックだということをこのように美しく見せた映画はそうないのではなかろうか。
フェルメールという名前は聞いたことがあるな、真珠の首飾りの少女の絵も観た事があるな、という程度しか知らなくても存分に楽しめました。苦しい家計を助けるためメイドとして
フェルメールの家に雇われたGreitの一人称で、あの絵が描かれるまでの日常が、彼女自身だけでなく他の登場人物の息遣いまで聞こえてくるかのような臨場感を持って描き出されていきます。17世紀のオランダにトリップして切ない少女期の思い出の世界を体験してみたい方にはお勧めです。
終わったと思ってからラストまでもうひとひねりありますが、ここはやや残念なので星は4つ。
映画とのタイアップ版の表紙でも分かるとおりコリン・ファースが主演することが決まったようですが、じっとGreitを見つめる物静かな絵描きの姿を想像しただけでナイスキャスティング!でしょう。
始まってしょっぱなからぞくぞくしました。
まるで
フェルメールの絵画そのもののような色彩と光。
それは全編通して変わりませんでした。
実際にある
フェルメールの作品を描いてるとされる画面もあり
思わず息を呑むようでした。
全体的にトーンは抑え目、でも登場人物の描き方が丁寧で、あんなにも静かな中にもそれぞれの情熱・嫉妬・愛情・欲望など様々な感情の流れや渦がはっきりと伝わってきます。
スカーレット・ヨハンソン、ほとんどすっぴんで髪の毛も覆ってしまっているのに、絵から抜け出したかのような美しさで、幼さの残る中になんともいえない色気が滲みでてました。
役柄の中の本人はきっと自分のそんな面には気がついてもいないのだろうなという印象を受けましたが。
耳元に聞こえてくるような息づかいやほんの指先の触れ合いだけなのに、下手なラブシーンなどよりよっぽど官能的な空気が流ていたように思います。
ヤンの妻の激昂ぶりも凄まじかったですが、自分の家に仕える使用人が本人はそんなつもりはさらさら無かったとしても、あれほどまで子悪魔的な雰囲気を振り撒き、自分の夫がたとえそれが仕事に向ける情熱からきてるものとはいえその娘に愛情めいたものを向けてると知ったら、取り乱すのも分からないではないですね・・・
ましてや、主人と使用人という身分の差がはっきりしてた時代の話。
ラストは原作とはちょっと違っていましたが、映画の方の終わり方も違和感無く私は良かったのではないかなと思います。
今の時代にも残る数々の名画の背景には資金の面での苦労や様々駆け引きがあったというのも分かりました。
この作品を観た後に、
美術館にオランダ絵画展を見にいきましたが、この作品のおかげでとても興味深く見れました。
映画で鑑賞させてもらっているときに この音楽以外にぴったりな音はナイ-♪
なんて 秘かに心の中で呟いていました。
音楽が映像に合っているのは お聴き、ご覧のとおり-☆
ALEXANDRE DESPLAT (アレクサンドル・デプラ)が
鑑賞する方にも内面を優しく辿らせてくれるのに気持ちをまかせる〜
のも得がたいひとときになることでしょう!!
※ 17世紀 オランダを代表する画家
フェルメールが描いた名画
『真珠の耳飾りの少女』通称『青いターバンの少女』を
1999年に小説化されたものから イギリスTV界の演出家ピーター・ウェーバーが監督した映画の
サウンドトラック。