池上冬樹の解説にも書いてあるように「まさか馳星周の小説を読んで泣くとは思わなかった」。
東日本大震災の被災地、石巻。そこから物語が始まる。大津波に襲われた石巻の風景描写…読み始めてすぐに泣けてきた。東日本大震災の直後に両親の安否を確認するため向った沿岸の町…全てが津波で流され、大きな船が打ち上げられ、瓦礫に覆われた道路…虚ろな表情で歩く人々…余りにも強く残る人々の生活の痕跡…あの光景が頭の中に蘇った。
そして物語の舞台は終戦間際の沖縄へ。あの悲惨な戦争と東日本大震災がオーバーラップし、ページをめくるたびに涙がこぼれる。本土に見捨てられた沖縄…その中で必死に生きる14歳の真栄原幸甚…馳星周の小説を読んで泣くとは、本当に思わなかった。
タイトルから想像するに馳星周得意のノワール小説かと思ったのだが、意表を突かれた。やられた…
おそらく三池監督という日本映画の異端児を知らずにこの映画を見てしまうとすごく不愉快になってしまうと思う。なぜなら暴力、ギャグ、楽屋オチがひっきりなしにあなたを襲うからだ。ドラマが停滞してしまうほどの無駄な暴力と繰り返される遊びのカットについて来れないときっときびしい映画だろうなぁと思います。
ただやっぱり見るべき所は沢山あって例えば、三池組カメラマンで有名な山本英夫のライブ感あふれる躍動的なカメラワークであったり、遊び心たっぷりの無駄なCGワークなんかはさすが世界で評価されている三池監督の勢いのある演出だと思います。
あと主人公の吉川晃司は個人的に役者としてとてもいい演技していると
思います。