居酒屋で泥酔して熟睡している鋳掛屋クリストファー・スライ。 そこへ領主が家来を連れて現れて彼をからかうことを思いつく。 スライが目覚めれば、音楽が鳴り、甘い香水の匂いに包まれ、 領主とその家来達が「お殿様」と恭しくかしずき、美しい奥方に 女装した小姓が「わが殿」と甘くささやく。
家来が語る「十五年間の眠りから覚めた殿様」というフィクションに 幻惑されたスライは、領主おかかえの役者達が演ずる愉快な喜劇を 観覧することになります。それが『じゃじゃ馬ならし』なのです。
この喜劇はスライが、ペトルーチオのキャタリーナ教育を見る、 という二重構造なのですが、スライが第一幕第一場で再登場した後、 最後まで出てこないこともあってか、彼のエピソードは上演では カットされてしまうことが多いのです。
「自分は本来殿様で、美しい妻・従順な家来たちがいる男だ」 というフィクションに惑わされる、というエピソードは、 「妻は夫に従うべき」という劇中劇『じゃじゃ馬ならし』の ちょっと危険なテーマとのバランスを保っているような気もします。
『じゃじゃ馬馴らし』は問題作でもあり、手の付けられないじゃじゃ馬娘キャタリーナが、剛毅な男性ペトルーチオに力ずくで口説かれて結婚に追い込まれる。だが、二人は対立しているようで、実は最初から息が合っているのだ。第二幕第1場、初めて会った二人の、丁々発止の遣り取りを既訳と比べよう。キャタリーナの台詞、It is my fashion, when I see a crab.の、crabを、福田恒存は「蟹」、小田島雄志は「ゲジゲジ」、松岡和子はcrab appleの省略形と見て「ヒネた酸っぱいりんご」と訳す。(福田訳)「ペ:そんなしかめ面するものじゃない。/キャ:これがあたしの癖なの、蟹を見るとね。/ペ:何を言う、蟹なんかどこにもいない。さ、だから、そんな渋い面はかたづけて。/キャ:それがいるのだもの。/ペ:じゃ、見せてくれ。/キャ:鏡さえあればね。/ペ:じゃ、僕の顔がそうだと言いたいのだね?/キャ:よく分ったわね、若いのに感心。/ペ:そうれ、おっしゃる通り、この腕っぷしが若さの賜物。/キャ:いずれ、くたびれるでしょうよ。/ペ:天の恵み。/キャ:天の助け。」 (小田島訳) 「そんなしかめ面しないで。/これは私の癖なのよ。ゲジゲジを見たときの。/ゲジゲジなんかいないぜ、だからしかめ面はよせよ。/いるわよ、ゲジゲジが。/どこに?/鏡があれば見せてあげられるけど。/なんだ、俺がゲジゲジ面だと言いたいのか?/よく分ったわね、その若さで。/もちろん俺には若さと美貌があるさ。/皺もあるわ。/苦労したんでね。/ご苦労様。」 (松岡訳)「さあ、そんな渋い顔しないで。 /私、こういう顔になるの、ヒネた酸っぱいりんごを見ると。/酸っぱいりんごなんてここにはない、だから渋い顔するな。/あるわよ、そこに。/じゃ見せてごらん。/鏡があれば見せられるけど。/え、僕の顔?/よく当てたわね、その若さで。/確かに僕は君には若々しすぎる。/なのに皺だらけ。/苦労したからね。/ご苦労さま。」鏡に映るペトルーチオの顔に喩えているのだから、crabは、蟹やゲジゲジではなく、さえないリンゴだろう。
Baptista has two daughters: the eldest is Kate the cursed and beautiful Bianca. Everyone wants to marry Bianca but Baptista insists that it has to be Kate first. Suitors rivaling over Bianca have to find someone desperate enough to marry Kate for economic purpose.
One of the things that make this movie is all the money that was put onto the props and costumes. Of course with the big named actors and Franco Zeffirelli money for the program is naturally available.
Elisabeth Taylor can make squinty eyes and does not use her naturally squeaky voice. The film stays true to the story however it does not come near the professional and just a fun 1980 BBC version production with John Cleese as Petruchio.
この作品のカタリ−ナのように 強くて、かつ包容力のある男の人の手の平の上で、ころがされながらも、わがままに生きられたら どんなに楽しいか・・・ 普段の生活に重ねてみたくなるような 主人公にのめり込んでいます。
じゃじゃ馬馴らしの舞台を観に行けなかったので、DVDを買いました。値打に買えてラッキーでした。山本裕典くんの初めての蜷川幸雄さん演出での舞台。上手に演じ切っていました。亀次郎さん、筧利夫さん、月川くんの演技にも興味があり本当に買って良かったです。
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