実際に食事や生活習慣などをコントロールする「介入研究」を積み重ねた結果に基づき、健康で健やかに長生きして老化を遅らせる方法についての見解をまとめた本。
日本では、病気を治す/予防するということに医療の重点がおかれてきたが、著者は「高齢者の健康度の指標は『生活機能の自立度』にすべき」と提唱する。シニアになると病気をひとつふたつ抱えているのはあたりまえで、「生活習慣病で要介護になるわけじゃない」と述べている。特に、1階から2階の階段を使った昇降が自力でできることと、1km自力で歩けることは大きなポイントだという。
特に、食事についてかなり詳しく説明している。粗食の効能は強く否定。メタボ診断についても強い疑問を投げかけている。多様な食品を食べ、肉と魚の比率を1:1にしてたんぱく質を十分に摂ること、牛乳を飲むこと(苦手ならヨーグルトでもOK)、欠食しないこと、動物性脂肪もしっかりとること、といったことを奨励している。そして、コレステロールが高い方が長生きできるというデータがあるのでコレステロール悪玉説は気にしないこと、血液中の血清アルブミンの量が一定に保たれるようにすること、血液中の総たんぱく質も重要な指標になると説明している。
この手の本の中には根拠があいまいでてきとうなものもあるが、本書は多くのデータを紹介しながら丁寧に書かれており、いわゆるアンチエイジングの本としてはかなり良質な部類に入る。しかし、中身は良いのに、あまりにもキャッチーな
タイトルを狙いすぎである。これでは、かえってうさん臭く思えてしまう。