中国新聞の連載が元.憲法改正問題に関して,国民の間で議論が尽くされていないと指摘する.国際協力についても,日本は自衛隊による武力協力よりも経済的協力が得意分野だと指摘.理論家でない現実主義者としての政治家の顔をのぞかせる.
御厨貴教授の「オーラルヒストリー」シリーズ。例によって読後には、「物足りないなあ」という感じがまず先立つ。しかし、こういう企画は価値があるのでどんどん続けて欲しい。基本的にこのシリーズでは、「本人が墓場に持って行くと決めた重大告白」は出てこない。今回の宮沢喜一氏の語りでも、安保締結の裏話や、氏の娘さんの啓子さんと彼女と結婚した、クリス・ラフルアー氏(米元駐米公使)との出会い、日米欧三極委員会での彼の役割、大蔵大臣時代の話、資金源などの話は一切出てこない。ただ、プラザ合意に関しては、相当に悔やまれているようで、「不良債権の問題の背後にはプラザ合意があったのではないか」と言っている当たりは本書のハイライトであろう。 ぜひ御厨教授には続いて、山本正氏あたりのオーラルヒストリーを手がけて欲しいものである。
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