アルバム自体も好きな曲が多いですが、いちばん好きなのは『野辺』です。蜃気楼を見ているような、或いは森に迷い込んだようなとわけのわからない表現ですが、不思議な感覚がこの曲には秘められている気がします。僅か3分位の音の世界にこんなにも繊細なものを表現できる大貫妙子というのはアーティストそのものです。ここで続いた教授とのコラボレーションも後の名盤『LUCY』までお休みというわけです。続いて始まる小林武史とのカラフルな世界も素晴らしいです。
「野辺」を聴いたとき、それは夢の中にいるような、誰も知らない湿原にいるようなそんな感覚に見舞われました。
坂本龍一とのコンビも一旦此処で区切りつけて新しい旅をすることになる大貫さん。
そのあと
ブラジルであったり、
南極、アフリカ、ヨーロッパなど音を変えつつ。
アルバムもコンセプトがあるわけじゃないけど、まとまっていて、常に品格を保っているアーティスト性はいつ聴いてもリスペクトせざるを得ない。
パット・メセニーのようなリラクゼーションアルバムになることができる傑作です。