ラスト、男泣きに泣きました。しかしそれは感傷的な涙ではありません。
人はかくも誠実に自分の使命に命を捧げられるということ、極限状況の中で他人への愛情を保ち続けられるということ。熱い血の通った人間でありながら、冷静なリ
アリストでいられるということ。そこに胸を打たれたのです。こんなに美しく強い日本人がいたんですね。著者の感情に流されないクールな筆致が、かえって硫黄島の戦いの悲惨さ、戦争の虚しさを浮かび上がらせています。
また、全体に著者のバランス感覚と視野の広さが感じられ、硫黄島の戦いと、東京大空襲や原爆投下、沖縄戦などとの関わりも、この本を読んではじめてわかりました。
大げさな表現や常套句の羅列のような戦記ものが多い中、文学の名に値するものが久々に出てきた気がします。
生前、海軍として硫黄島の運搬船に従事していた祖父からその戦闘の激しさは帰郷時聞いていました。船もろとも撃沈され、海上に飛び込み(沈没時に一緒に海中没すると、船の引き込まれる引力で海中にもぐりこむため)、その挙句、米軍から機銃掃射の嵐で、生存率は10%以下だと聞きました。
この映画自体も素晴らしいのですが、二宮クンの存在感も無視できません。いわゆるジャニタレの一人であり、全員が全員ではないけれど、視聴率稼ぎで安易に彼らを起用し、その大根役者っぷりに唖然とすることもしばしばですが、彼は例外ですね。先天的な人間味というのを掴み取れます。当時は、「非国民」として一蹴されていたであろう、日本特有の玉砕魂に自ら異論を唱え、それを実行した若き青年。心の中では彼のように正直に生きたくて散ってしまった青年もきっと多かったはずです。そのような塊根の極みの中で命を落とした青年達の魂の叫びを二宮クンの好演により上手く代弁されています。演技力もさることながら、彼が元来もっている気質などが上手く作用して、またキャラクター設定とも合致して、このような絶妙な感覚に陥らせてくれたのだと思いますが。
以前、脳性麻痺を扱った社会派ドラマでも、普段年下の役者には感情移入できず見ることも無いドラマですが、このドラマも一気に引き込まれました。彼は、ジャニタレというくくりするには惜しい逸材だと思います。
史実により忠実にという意見もあるでしょうけど、大部分の視聴者はそこまでの知識を所持していないだろうし、この映画の目的は史実を詳細に扱うということより、より広く当時の悲惨さを啓蒙することにあると思います。ましてや、上官の規律や軍隊としての忠誠等の軍国的な物語を織り込むよりも、人間としての生への欲求等を「非国民」と思われようが、主人公のように探求する精神。これこそが戦後構築された憲法第9条に則った、平和的意味での啓蒙的映画として私は高く評価されるべきだと思います。
硫黄島の戦いについては、他の分厚い本やドキュメンタリー映像で多数リリースされていますし、その忠実さを求めれば、難解さが伴い、今回のような多くのファンの支持を得ることはおそらく無かったことでしょう。あえて、二宮クンのような人間くさい人物設定を付け加えることで、単なる史実映画ではない、人間臭い余韻が残る好映画になったと思います。
約10年前に散った祖父がこの映画を見たらどう思うか?着弾で耳の鼓膜はやぶれ、火葬された遺体には、骨と共に体内にめりこんだ無数の弾薬が残されていました。後に、当時の橋本首相より戦績殊勲を称えられ、表彰状まで送られた祖父ですが、おそらくこの映画も好意的に視聴されていたのではと思いますが。祖父もこの二宮クン同様生きることに必死だったことにシンパシーを感じたはずです。
僕は、硫黄島本土戦闘以外の硫黄島、小笠原諸島補給船兵士として陰ながら、熾烈を極めた死線をくぐり抜けた祖父の血を別けていることを光栄に感じます。今の僕がいるのは、生還した祖父がいたからです。同時に二宮クンのような自らのポリシーに則り、当時の体制に異を唱え、生きることをまっとうした兵士達にも尊敬の意を表したいです。
Kyle Eastwood ソロ6枚目のアルバム デビュー1枚目は持っていないので
2枚目Paris Blueからのファンだが アルバム毎に異なったカラーを持っていると
思う 本作は前作 Songs from the Chateau の延長線上ではあるが やはり
雰囲気がちがう 最初は地味だな…と思ったが 聴いていくうちにその味が
出てくる感じ ベース・ドラム・ピアノ・サックス・
トランペットの
クインテット構成は前作と同じ トランペッターが変わったかな
1曲エレピをフューチャーした曲があるが とっても新鮮!
やはり良いオリジナル曲を作れる人は期待を裏切らないですね v( ̄ε ̄)
映画 硫黄島からの手紙を見て また 戦争にも関心が以前から有り購入しました。内容は秀逸。誰が何を語るよりも 生還した当事者の言葉は 唯一の事実であり何より重い。栗林中将やバロン西など 失礼だが あの戦いの中の 断片に過ぎないのだ。当然 当時少年に近い生存者からは 戦友の話は有っても 彼らのエピソード等は出てこない。映画や一部の本で にわか感動した人には つまらないかも。しかし これが現実なのだ。60年過ぎても 涙ながらに話す生還者の姿 言葉は 心に突き刺さる。そして彼らから見た今の日本はどうなのだろう?もちろん各地での戦闘 原爆 空襲など体験者全ての人も含めて。よく 終戦直後の食べるものも無かった話を苦労話に語る今の60代70代の方こそ必見かも知れない。あなた方は 戦争を経験した気分になっては いるが当時子供だったのだから。あなた方こそ 次世代に本当の感謝や反省を伝えていくべきなのだから。現地で亡くなられた方 その他260万人の方々に 私は再度感謝したい。作品は 時間が短いのが不満 絞り込んで そうなったのかも知れないが。兎に角 必見です。貴重な資料です。