「放射線災害」という造語を敢えて使用されています。
対する言葉は「自然災害」です。
これは本質的に放射線災害が被害が甚大すぎる、
それと著者ははっきりとは書いていませんが、
人為的な犯罪であると考えていらっしゃるのではないでしょうか。
自然災害が放射線災害よりも人数という意味で甚大な被害を発生しうるということは、
当然織り込み済みだろうと思います。
菅谷さんの甲状腺癌の症例についての記述や、
具体的な手術の様子、患者の心の動きなど、
そういった記述がとても記憶に残ります。
これは放射線の災害の実態というものが、
実際にはそうした固有例のひとつひとつであるということなのだろうと思います。
甲状腺癌の罹患者が仮に10年後10倍になっても、100倍になっても、
多くの人には健康被害が出ないことは間違いありませんが、
甲状腺癌という症例の発生を許容出来るかどうかは慎重に考えないといけないと感じます。
医学的なことは詳しく解りませんが、
ここで書かれているような「甲状腺癌の進行がん」というのは、
甲状腺癌では一般的なことなのでしょうか?
あるいは、「リンパ節への転移」とか、
「肺への転移」などという記述もあります。
もしベラルーシや
ウクライナでだけこういうことがおきているのだとすると、
相当「重篤」な気がしました。
放射線被曝で大人の甲状腺癌も増えると記述されていて、
ベラルーシの例で年齢別に甲状腺癌の増加率のカーブが違うということを
記述されているのは貴重な情報でした。
除染作業は僕個人は全て駄目という意見ではありませんが、
菅谷さんの除染作業に対する批判は真当です。
特に菅谷さんは基本的に放射性物質の汚染地域は基本的に住むべきではないという立場ですのでなおさらです。
首長の職の経験者の立場から、
国と汚染地域の首長の除染が地域の自治体としての維持ということが
目的の中心になってしまっていると批判されているのは
当たっているかもしれません。
菅谷さんの批判の矛先が、
東電や政府などよりも「僕たち」日本人全体に向いています。
「悪性反復性健忘症」というのだそうです。
外から日本を見たことのある立場からすると、
「もっとしっかりしろ」ということなのかもしれいません。