著者は中国陶磁の研究者。「海のシルクロード」ということを言い出した人物で、中国から輸出された陶磁器が、世界各地に分散していったさまを明らかにしてきた。
本書は中国陶磁を世界的視野から位置づけ、また
青磁や白磁など種別に考証を記したもの。商品としてどのように発展し、誰にどうやって販売されたかに重点が置かれ、実際に自身が世界各地で行ってきた発掘や
調査の例が挙げられている。失敗作でも売ってしまったこと、顧客のニーズに合わせた商品開発が行われていたこと、地域による中国陶磁の受容の違いなど、なかなか刺激的な話が多かった。
美術品・骨董としての話はほとんど出てこないので、そういう本を求めている人には向かない。
また、文章を書くのが苦手な人らしい。