ジャケットだけ見ると、人魚を真似したかのような可愛い姿が映っているが、CDに記録されている音は斬新で暗くて重い。
それこそ選曲はビリー・ホリディ、サン・ハウス、ハンク・ウィリアムス、ニール・ヤング、U2、ヘンリー・マンシーニ、モンキーズと多岐に渡るが、それらを全て自分のオリジナルのように消化させ、ヘビーなサウンドで統一させているところなんか凄いなあ。
また、彼女のオリジナルも5曲納められており、それらの楽曲も良い。
初めてStrange Fruitを聴いたときの衝撃は忘れられない、いわゆる一目ぼれだ。
Cassandra Wilsonは常に新領域を開拓する、これは二番目の夫イサークが監督するフィルムで、
オーストラリアとニュージーランドのライブ・ツアーを主体とする。CDのトラヴェリング・マイルスとは10曲中3曲しか一致していないし、いわゆるトリビュートではないとCassandraは力説している、その理由は是非聞くべきだ。
マーヴィン・スーウルのギター演奏およびスライド奏法の熱き語り口、夫イサークとのブルースに関する議論、驚いたことに終わり近くStrange Fruitを魅惑的な姿とともに聴くことができる。そのときCassandraは42歳、曲を耳から聴くことだけで充分だといえたらどんなに良いだろう。それにしてもイサーク監督は才能がないんじゃないか・・・これはきっとジェラシーに違いない。
同時代のメッセージをつかむなら早いに越したことはない、Cassandraが生きているうちに!