オーディエンスのノリや選曲も最高!このライブ自体当時ニューアルバムだった「Brave New World」からの選曲と旧名曲とを合わせた素晴らしいライブになっている。会場のボルテージものっけから爆発気味で1曲目から全員ぶっ飛んでいる。今回のライブで特に変わった点とすればツインギターからトリプルギターになっていること、これにより従来のメイデンお得意の疾走感溢れるギターサウンドにもう1枚ヘビーさが加わった感じも印象強かった。
バンドのフロントマンでもあるブルースディッキンソンの歌声も円熟味を一層増した素晴らしい歌声でオーディエンスを引っ張っている。とにかく最初から最後まで聞き逃す事の出来ないライブアルバムに仕上がっている。
やはりこの男達のNWOBHMの精神は死ぬこともなければブリティッシュヘビーメタルの雄は今後もHR/HMの世界を引っ張り続けて行くに違いない!
メイデンといえばスリリングな重層的ギター、勇ましい歌メロ、
タイトなリズム隊という印象を受ける。このアルバムにはそれらが確かに詰まっている。しかし、それらは稀釈されてお互いに化学反応を起こしてはおらず、それが曲の冗長さに化けてしまっている。
ここには、たとえば大名盤Somewhere in Timeにある各楽器の単純ながら効果的な絡まりあいはないし、滾る芸術家のソウルもない気がする。言ってしまえば、このアルバムから80年代の、あのメタルのオピニオンリーダー然としたイノヴェーダーの気高さと野心が感じられないのだ。
過去に幽居することを選んだこれらの楽曲は、私のようなブルース脱退以前のメイデンをドグマとする者に悲しみを残すのみである。