すいすい習得 UMLモデリング (豆蔵セミナーライブオンテキスト (2))
この本が他のモデリング解説書籍ともっとも違うのは、
「レビューを疑似体験できる」ということだろう。
各トピックは学科編と実技編により構成されているのだが、
実技編で出題される問題の解答解説が
教官(講師)と受講者によるレビューになっている。
モデリングスキルを向上させるには、
優れたモデラーと一緒にレビューを繰り返す必要がある。
もともとモデルは他者との意志疎通の道具なのだから、
「共同で作り上げる過程」が大切だ。
こういったレビュー時のノウハウは書籍では著わしにくく、
たいていの場合は単なるチェックリストになってしまう。
本書は、豆蔵のセミナーをそのまま書籍に写し取る
メリットを最大に活かし、
「優れたモデラー、レビュワーはレビューをどう進めるか」
を見せることに成功している。
大したことではないが、前半と後半の間に
前提知識のギャップがあるので注意。
後半(第2段階)は、開発プロセスに則った
オブジェクト指向分析設計(OOAD)の知識があると
さらに理解が進むだろう。
OMG認定UML試験Fundamental対応 UML速習リファレンス
この本の読者層は大きく2つに分かれると思います。ひとつはUMLの試験を受験する人。もうひとつは、UMLをある程度知っていてUML 2.0ベースの知識をすばやく仕入れたいと思っている人です。私は後者の立場でこの本を読みましたが、UML 2.0のクラス図、シーケンス図、アクティビティ図、ユースケース図に関して、知らなかったことや忘れていたこと、新しい表記法やセマンティクスなどを短時間でチェックすることができました。最初から順番に読み進める必要はなく、自分の知りたい部分から読み進めることができる構成になっており、UMLの重要な概念については随時参照が振られているのが便利。各トピックが1ページか、見開き2ページで説明されているのも読みやすい。この内容でこの値段なら「買い」だと思います。
豆蔵セミナーライブオンテキスト(1) わかるオブジェクト指向
本書は、「オブジェクト指向について」のまさに入門書。
新人の技術者や、あまり勉強する時間がとれずにJavaで
開発をしている技術者にお勧めできる。
本書を読んだあと、各トピックの関連に注意しながら
他の専門書を読むと、最低限の努力でオブジェクト指向周辺の
技術が理解できるだろう。
この本は、あくまでもオブジェクト指向を中心にしながら、
初学者向けの文脈をうまく作り上げている。
他のオブジェクト指向の本だと、特定の言語と結びついていたり、
あるいは数学的な概念が入ってきて、初心者にはあまり
お勧めできなかった。
オブジェクト指向という考え方は、システムを開発する上で
「人間が世界を理解するやり方を素直にシステムに取り込もう」
という方針から生まれている。
だから、特定の言語と結びついてしまうと、その言語特有の
「縛り」にとらわれてしまって、本来のオブジェクト指向で
できることを狭めてしまうことがある。
また、数学的な理論展開は魅力的ではあるが、
初心者はまず、全体像をつかむべきであり、
数学的厳密さは重要ではない。
星が4つなのは、参考文献が無いから。
セミナーの録音を元に原稿を起こしているので仕方ない面もあるが、
勉強を促進するためにも参考文献を載せて欲しかった。