ラスト・アナコンダ [DVD]
タイトルからは「ZODA」や「BOA」のようなアニマル・パニックを想像するが、ホラー、バイオレンス、アクション、アドベンチャーなど様々な要素をバランスよく取り入れたSF映画。「呪われた禁断の森」に逃げ込んだ脱獄犯たちと、彼らを追う刑事たちを待ち構えていたのはジャングルの凶暴な生き物や美女バンパイア。彼らの危機を救ったのは森に住む美女姉妹だったが、彼女たちの一族にも、脱獄犯と刑事の父親たちが20年前に村から持ち出した秘宝にまつわる秘密があったというもの。
クリーチャーの造形や映像処理もタイ映画にありがちな安っぽさがなく、ストーリーも親子二代にわたっての因果譚になっており、細部までこだわって作られていることがうかがわれる。さらにガイド役を務める老狩人の娘や、森に住む美女姉妹たちヒロインが魅力的で、キャスト的にも手抜きがない。最初から私自身がハードルを低くしたせいかもしれないが、テンポがよく十二分に楽しめる作品。香港映画でもこのテのごった煮的なSFアドベンチャーはあるが、香港映画に欠かせない「笑い」の要素は排除され、しかも東南アジア独特の湿度感がいい。ラストも安易なハッピーエンドにしなかったところにも、仏教的無常観とともに制作者の矜持が感じられて後味は悪くない。
タイ映画のみならず、アジア映画ファンにお勧めしたい隠れた名作。
ヒトは食べられて進化した
まず タイトルに偽りなしといったところである。
しかし読んでいて気になるのが、化石人骨の損壊は、全てが肉食獣による傷と力説するところであろう。石器によるカットマークを無視して全てが捕食者によるもの、というのはムリがある。
石器で叩き潰し筋肉を剥がし 腱を切り 骨髄を取り出した痕跡とはどんなモノか?という比較検討が一切されていない。骨幹に直交する薄く深い一直線の傷を多く付ける肉食獣が居るのだろうか?
ティム・ホワイトが食人行為によって付けられた骨の傷が、肉食獣の攻撃の痕跡とどう違うのかを写真や図譜で示したのと好対象である。
また本の中のイラストがそこそこ上手なものと まるで東日流外三郡誌の和田喜八郎氏が書いたイラストと大変によく似ているモノとに分かれる。後者はパースが狂っていて縮尺がおかしい。
古人類学の研究者諸氏が「なぜ食人行為と言えるか」を詳細に説明し広く理解されている処を、この本の主義主張だけで「捕食行為による変化」とは言えないと思う。