この世の果て
野島伸司ワールドです。1990年代独特の反社会性や問題を全面に出したような作品で、だからこそ浮き彫りになる孤高のような愛の形。野島作品はメッセージ性が強いのが特徴なのと、登場人物が毎度個性的で人間臭さが感じられる、だからこそ表現できる世界。ドラマでは「ひとつ屋根の下で」「高校教師」「家なき子」「未成年」「聖者の行進」数々のヒットを世に送り出した。今回の作品も暗いと批評がついたが、最後まで読んだ時の貴方の判断に委ねたいと思う。
この世の果て Vol.1 [VHS]
野島ドラマといえばそれまで「高校教師」や「人間失格」のように人間に冷酷な部分やタブーの連続の作風が多かったが、この作品に関してはそれまでの過激な印象は無かった気がする。
日本でも高名なピアニストだった三上がしかしながら「籠の中の小鳥」みたいな人生に嫌気がさし鈴木と共にひものような生活にまで低落する。一見矛盾しているような人生を歩んでいた三上だったけど、なぜか共感した部分も多かった。裕福で何もかも得られる人生が必ずしも最高とは限らないという事を。中盤でそのような裕福な自分に二度と戻らぬようにピアニストの命とも言える自らの手を砕いたシーンは衝撃だった。
野島作品での配役の職人技は毎回驚嘆させられるが、本作品も同じ事が当てはまった。今までトレンディードラマで華やかな役が多かったが、髪型を一変させて、尖っていて冷たい印象を出した鈴木や転落の苦悩を好演した三上を軸にまだ知名度が低いながら独特の演技で魅了した豊川や「野島レギュラー」にまでなった盲目少女の桜井やそれをきっかけに愛心が再び芽生える顔に大火傷を負った青年・金至上主義の医者・自分を奈落のそこへ落とした落とし前として「この世の果て」まで必ずや引きづり込むと誓った人間や知性に欠けているが母性に飢えた青年等。。。。配役もさる事ながら、キャラクター設定の妙も素晴らしいといわざる得なかった。
毎回野島作品に欠かせないのが、テーマ音楽だが尾崎豊の歌もドラマと併せて悲壮感漂うはまり曲だった気がする。
DVD化もされていなく、野島作品の中では特に知名度が高い作品でもないが、私の中ではトップクラスの感銘を与えた作品だ。
今のティーンネイジャーは知らない人も多い作品かもしれないが、野島作品を好んで見る人は是非見てもらいたい。
この世の果てまで DVD-BOX
かなり怖かったです。美しい純粋な愛の場面と、反比例するかの様な内容、場面があるんです。この、反比例部分に私は耐え難いくらいゾーっとしました。登場人物のキャラクターを限界まで固定表現しているドラマかもしれません。ある程度、実話に基づいているそうです。限りなくスッピンのキム・ヒソンが限りなく美しい。リュ・シウォンの庶民的な役柄の演技で脱皮したとも言われている作品です。最終回はそれなりに納得ゆき、心に残る作品には間違いないと思います。
この世の果て~サントラ
中でも傑作といえるのが、尾崎豊「Oh My Little Girl」のクラシックバージョンだろう。尾崎豊とクラシック、二つの対極的な存在が見事にコラボレートし、哀愁漂う作品に仕上がっている。何度でもリピートしたくなる。
この世の果て (幻冬舎文庫)
自分なりの「愛」を見つける前に読む(見る)のと
見つけてから後に読む(見る)のとでは
全然感じ方が違う純愛ストーリーだと思います。
年をとったせいか、強烈な主人公さながら
わき役全ての存在感や人生の悲哀が心の琴線にふれ、
「幸せ」のむつかしさ、理屈ぬきの感情・行動のせつなさを
考えさせられます。
結構ブアツイのにイッキに読めますが、落ち込んだり体調不良のときには
読まないほうが無難だと思われます。