薩摩燃ゆ (小学館文庫)
こんな人物がいたのか!彼なくせば、明治維新はなかった! 彼を知れたことに、とてつもない満足がある。彼は、財政改革を断行する。そのためには、悪にも手を染め、贋金作り、密貿易さえ厭わない。同時に、人材も発掘し、西郷、大久保を見出す。藩主重豪(しげひで)の命令=「万古不易の備え」に命をかけて挑む。斉興(なりおき=重豪の子)にふたりまでも子どもを殺害される。それでも改革の炎は消さない。意外だったのは、英明の誉れ高き斉彬(なりあきら=斉興の子)。斉彬こそ、私は明治薩摩の恩人だと思っていたので、動揺した。最後に、では、どうして、☆が5つではないのか? それは、エンディングが不満だから。あまりにもむごく、あまりにも唐突に、作家は彼を殺した。彼の最期に、もっとふさわしい場を用意できなかったのか? 読者としての抗議で、☆は4つにした。