たとえ世界が終わっても CYCLE SOUL APARTMENT スペシャル・エディション [DVD]
全体を通して、マナミがなぜ死にたいと思っているかはイマイチ分かりませんでした。こういう映画は他にも多くありますが、このような作品は個人的に点数をつけるなら通常低い点数なのですが、本作品はとても良かったと思います。点数をつけるなら75点位です。
印象に残ったシーンだと、オサダが死んだ後のオサダの部屋を片付けるシーンです。写真を見ているところも印象が強いですが、特に印象に残っているのは大南さんがマナミに言ったセリフです。胸に突き刺さるようなセリフでした。
迫力のアクションシーンもなく、「世界の中心で愛を叫ぶ」のような純愛作品でもありませんが、とてもいい映画なので是非見て欲しい作品のひとつです。でもハリウッド映画が好きな人にはつまらないかもしれません。そのような人はとりあえずDVDの箱の裏や、その他の情報をよく読んだ上で見ることをお勧めします。
South
10数年前、子供の学費か、自分自身の生活の乱れか忘れたが、多くのジャズLP,CDコレクションを手放した。その中に安田南さんのリーダー作の4枚のLPもあり、当時、若者に人気があると言うことで高値で引き取ってもらい、後日そのショップで聞くと、すぐ買い手がつきましたと。以来本作を含め、もちろん中古市場でも高値で手がでず、今回のキングレコードの再発シリーズに入り、目出度く、我が家に今日、帰ってきてくれました。
70年代FM東京の「気まぐれ飛行船」で片岡義男さんとの深夜放送でも人気を博し、ジャズ歌手として、本作を1stに数作リリースされ、ご活躍の安田南さんも鬼籍に入られたと聞きます。もうあの歌声は作品の中だけになりました。多くのジャズを志すシンガーが安田さんのように歌えたらいいなあといっています。歌が上手いんですが、ビブラートを多用するジャズシンガーはビリーホリディか安田さんですね。普通の歌手が真似ると、多分イモ臭くなります。しかし、このライブ盤は山本剛トリオにアルトの大友さんが見事に、ジャズシンガー安田南に触発され、白熱のライブになっています。
50年近く、ジャズボーカル、特に日本人のジャズ、ボーカルに親しんできましたが、ライブ盤のボーカルとしては、本作は最高傑作ですね。歌手を含め、5人の放つ音空間がそのまま、作品となり、スタンダード曲を材料に、ジャズしまくっています。買わない手はないです。お持ちでない方は。
南へ走れ・海の道を! [VHS]
大学生の頃、名画座で何回もよく観ました。今回ようやくソフトを入手。
「ふぉーりーふぁいう”おーろまりっく」と45オートが登場した瞬間から、身内を殺された男の復讐劇が始まります。
45オートの猛烈なマズルフラッシュは、口数の少ない主人公の怒りを見事に表現。日本映画にしては非常に珍しく、ディテール細かくガンアクションが描かれていきます。
圧巻は、唐突に始まるクライマックスの殴り込みシーン。
主人公は被弾しながらも、チェンバーに最終弾を残したまま弾倉を次々交換していく、正統派のコンバットシューティングをやって見せます。弾数をきちんと計算しているのです。この辺り、フィリピンから帰ってきた主人公が、ただ者ではなかった事をうまく表現しています。
終始ギラギラと照りつける真夏の日差し。
見終わった後の不思議な爽快感は、大学生当時も今も変わりませんでした。DVD化を望みます。
226 [DVD]
この映画、とても好きでもう何十回となく見てるんだけど
じゃぁ映画として完成度が高いか? と言われるとそれは話が別。
いろいろ理由はあるけど、一番ヘンなのは
クライマックスの「原隊復帰命令」シーン。
どう考えても主題にそぐわないメロウな音楽が流れる。
それもフルコーラス。んでストーリーに無関係な各兵士の個人的な回想画像が流れる。
これはおかしい。一体何考えてこんな場面にしたんだと思わざるを得ない。
だって、音楽の調子がどう聴いても「何かをうまくなし得た」とか
「恋がうまく成就した」みたいな雰囲気のものなんだもん。ヘンだよこれは。
それに回想内容が革命とな〜〜んも関係ないじゃん!!
いや、曲自体はスゴクいい曲なんですよ。でも、作品の主題と全く合ってないし
何よりもこの骨太な映画のクライマックスでこの曲かよ!というのが一番だな。
あと、ホントに226事件のことを理解してんのか? って思うほど
226事件を美化しすぎてる。実話はこんなカッコいい事件じゃないだろが(笑)!!
いや、僕はどっちかっていうと右派の人間なんだけど、その自分的に見ても
この映画の226事件の描き方はヘン。実話を真摯に鑑みるなら
これじゃバブル全盛期にブチ上げられたただの金満ヒーロー映画にすぎない。
上でいろいろ絶賛してるヒトいるみたいだけど、
こういうような点について、ヘンだとは思わないのかなぁ??
と、ハッキリヘンな映画なんだけど、メインテーマ曲は壮大だし
軍服はカッコいいし、見所はいっぱいある。だから好きな映画ではある。
だが、上記の理由で「映画として完成度が高いか」といわれたら
それは全く違うとしかいいようがない。それが事実だと自分では思ってる。
Some Feeling
村上ポンタに大村憲司、小原レイ氏ら強力な布陣をバックに歌う媚びない女、安田南の堂々としたたたずまいこそが男前というものである。ジャズだのロックだのとカテゴライズすることは彼女の場合まったく無意味。安田南以外のなにものでもなく、しかし彼女を知らない者でも一瞬にしてその歌世界に引き込まれてしまうだろう。彼女の歌声(歌詞にあらず)にはリアリティがあふれている。嘘がない。なんてかっこいい人なんだ。