SROⅣ - 黒い羊 (中公文庫)
1〜4まで一気に読みました。
シリーズ通して「シリアルキラーによる、かなりエグい殺人」がメイン
テーマなんですが、会話文主体の軽い文体のせいか
サラッと読めます。
逆に言えば「こんな軽いノリなのに、こんなグロくて救いの無い
展開になるとは!」なわけで、それがまたいい感じ。
この辺り、誉田哲也さんの小説に通じる匂いがありますね。
但し、イマイチな点もいくつかあります。
まず、「主人公は、おえらいさんだけのチーム」という珍しい設定が
ほとんど活かされていないです。リーダーの山根さん以外は、
別におえらいさんじゃなくても話に全く影響無いかと。
SROだからこその捜査方法でじわじわと犯人に迫る!というよりは
「単に運が良いだけ?」なところも不満です。
加えて、メインキャラとも言える近藤房子がハチャメチャなモンスター
すぎて、「SROが知力を結集して近藤房子と手に汗握る闘いを繰り
広げる」というよりも「房子さんスゲーw ちょー容赦ねーw」みたい
な話になっちゃってます。
読んでてドキドキはするんだけど、ヒリヒリする緊張感が
あまり無いというか。
5が出たら絶対に即買いしますが、「モンスター房子大暴れ!」なノリ
ではなく、緊張感溢れる緻密なバトルを是非見せて欲しいです。
ちなみに、個人的には
1=4>3>>2
という面白さ順でした。
Minstrel
もしも凍った心をとかす光に音があるならば、
木村さんのケルティック・ハープの織りなす音色のようではないでしょうか。
そして、木村さんの澄んだ深い歌声の響きに、
聴く人の内なる音楽が目を覚ますのではないでしょうか。
早雲の軍配者
主人公がひたむきで、友を大切にして、学問に秀で、心優しく…。と、さわやか青春ヒーローって感じです。
さらに自分を引き立ててくれる人たちの教えをよく聞き、期待に応えるべく努力し、精進する。ううむ、欠点がないぞ。
領民を守り、農民たちを幸せにすることを第一とする北条早雲の高邁な姿勢といい、早雲の教えを忠実に守る跡取りに部下といい、上司は理想を持つべしというリーダー論をみるようでもある。
読後感さわやかな、気持ちのいい読書ができました♪
続編で、山本勘助との対決編を読みたいものである。それはさわやかにはならないでしょうが…。
信玄の軍配者
前の巻と同じく、さらさらっと軽く読める内容と文体は健在。
歴史物って内容が難しそうで……と思っている方は一度手を出して欲しいシリーズです。
結構高い確率ではまるんじゃないでしょうか??
ここからは内容評価。ネタバレも含んでいるのでご注意下さい。
まず、前の巻に比べると戦のシーンが多いのは◎
軍配者が腕を振るって活躍する様が存分に見られます。
前の巻で物足りなさを感じた人は、こっちの方が面白いと感じることでしょう。
又、山本勘助の魅力的なキャラクターも◎
年老いてもなお胸に燻る熱い思いや、軍配者としての見事な才覚の描かれ方に引き込まれました。
あばた面のぶ男設定な為何度も死にかけた経験があるせいか、周りの心ある人物の台詞で良く泣いてました……。まぁ泣くわな。
……と、ここまでは良いのです。
が、勘助の最終的な身の落ち着け方にはちょっと首を傾げました。
え?最終巻では旧友達と三つ巴の戦いを繰り広げるんでしょう??
今更40過ぎの男が家庭を持つって(戦国時代の平均寿命って何歳だ?)……いや、別にありだとは思いますけどね。
まぁ、なんだかんだで面白かったので星5つ!!