夜のピクニック (新潮文庫)
本作品に出てくる「歩行祭」と同じイベントが、私の母校にもありました。
真夜中に駐車場でワイワイ騒いで、近所のおじさんに怒鳴られたりしたものですよ。
私は、「とにかく早くゴールしたい派」で(本作品にもそういうヤツがいますね)、友達とダベることもなく一目散にゴールを目指していました。
内心は、女子とお喋りしながらちんたら歩いて、楽しそうにゴールする人たちのことを羨ましく思っていましたけど^^;
でも、「俺はそんなキャラクターじゃねぇし」と硬派ぶったりしてね。
素直じゃなかったなぁ・・・。
社会人になって同窓会があった時、既に人妻になっていた高校時代の憧れの女性から、「あの時、一緒に歩こうと思って探したんだよ〜」と衝撃の告白!!
「うわぁぁぁぁ青春し損なったぁぁぁ!!」と激しく後悔しましたよ。
本作品の終盤で、主人公の1人である融が「もっと、ちゃんと高校生やっとくんだったな」と後悔の言葉を漏らします。
が、私から言わせると、「何言ってんの融。ギリギリ間にあったじゃん。贅沢言うなよ」ですよ(笑)
読了後に私が抱いた感想は、こうです。
『青年には青年にしか、中年には中年にしか、お年寄りにはお年寄りにしか生きられない人生がある。前ばかり見て突っ走るのではなく、ゆっくり歩きながら隣にいる誰かと笑いあうことこそが、豊かな人生なんだ。』
青春時代はいささか生き急いだ感がある私ですが、おっさんになった今は、思う存分おっさんを楽しむ所存です^^
木曜組曲 [VHS]
浅丘ルリ子、原田美枝子、鈴木京香、富田靖子、西田尚美に加えて、加藤登紀子という豪華な顔合わせ。小説家である浅丘の死について5人の女が食事しながら話し合う会話劇。回想シーンにしか登場しない浅丘が一番印象深かった。「伊達に長く映画をやってないわよ」との高笑いが聞こえてくるよう。皮肉なことに、浅丘に対抗できていたのは加藤。ラストへの運びがもたもたしていたのが残念。
ピクニックの準備 [DVD]
映画『夜のピクニック』のためのスピンオフ企画として、本編で語られる歩行祭の前日を登場人物に合わせて9本のショートフィルムにまとめた作品。
映画や小説は言わば、一つの世界の一カ所を切り取って表現しているわけで、「夜のピクニック」で語られた歩行祭があればその世界には当然前日譚も後日譚もあって当然なわけです。ところが、ほとんどの作品の例えば「2」が面白くなかったりするのは、「1」で切り取っていた部分が曲で言うサビみたいなもので、前日譚や後日譚は切り取り方が下手だと見られたもんじゃないような作品になってしまいます。この作品はその切り取り方が実に巧い。
特筆すべきは、主人公と言っても良い3人を除いては本編とは違う監督が作品にしていること。それも本編のテイストをぐちゃぐちゃにすることなく、それでいて「遊び」の部分を許している(「序奏」なんていかにも「彼」らしい妄想で良いですね)あたりが単体作品としても充分評価できると思います。
原作があるとは知らずに観たので評価を下げるかどうか迷ったのですが、原作があってもこの映像だけで充分本編に興味を持てるだけの出来だと思ったので結局☆5つに。原作を読んでいない人、映画を見ていない人は対象にしていません。
あぁ、また原作読みたくなったなぁ。
六番目の小夜子 第2章 [DVD]
『六番目の小夜子』がNHKでドラマ化されてから、早十年。いや、まだ十年と言うべきか。
20世紀最後の年に、かくも神秘的なドラマが撮影されていたことは、ミラクルだと言いたい。
「恐怖の文化祭」エピソードの、暗闇の体育館で、ぶっつけ本番で演じられる生徒全員参加の呼びかけ芝居には、今もって戦慄を覚える。
上演された芝居は、サヨコの鍵を持つ者が演じるはずの芝居ではなかったからだ。
鍵を受け継いだ者こそが、その年の本当のサヨコではないのか??
第二章まで観てしまったら、謎の真相を知りたくて第三章(最終章DVD)まで観ずにおれなくなるのは、致し方のない、サヨコ伝説の魔力なのでしょう。