赤い蝋燭と人魚
お子さんなどに読んで頂くにはちょっと難しそう。
言い回しがすこし古いので、大人向きかと思われます。
語り口が静かで美しく、とても透明な気分になれます。
私は悲しい物語が好きですが、この絵本はその欲求を
満たしてくれたような。
この小川未明さんの作品、実は大正10年に出来たものみたいです。
じつは、古かったんですね。ちょっと、新鮮さと共に
愛着までわいてきますよね。
童話迷宮 上(Bunch Comics Extra)
「くおんの森」の物語性が今ひとつだったので、購入を迷いましたが、杞憂でした。小川未明氏の童話にオリジナリティの粉を少しかけ、とても丁寧な画で仕上げました。という感じでしょうか。大判で出してもらえると、字を読むのが楽になるのですが。。。
小川未明童話集 (新潮文庫)
この童話集の中の「金の輪」という作品の中では珍しく
死というものを正面から扱った作品です。
私はこの作品を児童読物の最高峰のものとして、あまり
誰かに紹介したいと思ったことは今までありませんでした。
あまりに自分が好きで、この作品を批判されるのがいやだからです。
せっかく日本人に生まれたんだから、小川未明の童話読んで見ませんか
赤い蝋燭と人魚 (若い人の絵本)
表紙の絵はどことなくムンクの「思春期」を連想させます。酒井さんもそれを意図して描いたのではないかと感じられます。
まず黒い絵の具をこってりと塗り、その上に絵の具を重ねていく。そして色鉛筆の線できめる。そうやって描かれた酒井さんの絵がとても好きです。
奥行き感がある、というのかな。遠近感とは違う意味で。
はじめの部分のページ構成が映画的。これからお話が始まります、という気分にさせます。
黒が効果的です。物語のはじめに、「北方の海の色は青うございました。」とあるのですが、海はほとんど黒で描かれていて、海の冷たさが感じられます。
人魚が香具師に連れて行かれる場面の絵が特に好きです。人魚の腕をつかんでいる手がとても大きくて印象的。
これは、お爺さんの手なんですよね?同じ手でやさしいことも残酷なこともできるんです。人間って。
小川未明集 幽霊船―文豪怪談傑作選 (ちくま文庫)
超人的な多作ゆえに全貌が未だ全集として解明されていない作家だけに、余り見切ったようなことを言うのは憚られるが、少なくとも本書に選ばれた作品の共通点としては、ハッピー・エンドどころか基本的には悲劇やカタストロフで終わる話ばかりなことが挙げられる。
これは、作家自身の以下のような趣向の表れと言えるだろう。
「夜と、死と、暗黒と、青白い月とを友として、そんな恐れ(=引用注、死への恐怖)を喜びにしたロマンチックの芸術を書きたいと思う。」(「夜の喜び」より、362頁)
どんでん返しやキャラ設定等に凝った作品が溢れた現代のホラー/サスペンス小説と較べると素朴な作品が多い点は否めないが、児童文学者らしい寓話感の溢れた奇譚集に纏まっているとは言える。ただ、作者のいう「ロマンチック」の部分が同時代の室生犀星等に較べると少し落ちる感があるので、星は三つに留めた。また、狂人や病人、貧しい人々等が主要キャラになっている点も各話の共通点として挙げられるが、この辺は逆に現代作品よりも残酷な味わいが深いようにも思う。