プリティ・ベビー [DVD]
「美少女の誘惑」という、古典的な一方描写の難しい素材を見事に映像化した70年代の傑作。ほどほどの明け透けさで、女性に幻滅しない程度の娼館の日常とある美少女の数年を描いている。
舞台が娼館かは別にして、少女が「女」の萌芽をちらせつつ男性にアプローチするという枠組みは昔からあり、現在では映画のみならず漫画やライトノベルで非常によく見られるシチュエーションです。
一方でそういう素材は女性描写が難しく、女性作家に描かせるとリアルではあるものの面白味に欠け、男性作家に描かせるとファンタジーに過ぎてしまったりします。
そういう中で折り紙付きの美少女と折り紙付きの監督による当作は、この手の作品を見るときのテンプレートとなるバランス感覚と完成度があり、現在の作品群を理解したり創作したりする際に役に立つと思います。
少女や女性の喜怒哀楽、大らかさ、こすっからさ、様々なシーンから様々な要素が読み取れる教科書のような内容を美しいビジュアルで見られるのですから、お手本の一つとして是非手元に置いておきたい一枚です。
BIBLE
80年代についてひたすらレビューして来て、464レビュー目で松田聖子の音盤を初めてレビューするというのも或る意味失礼な話だろう。なぜなら80年代歌謡曲でトップは誰か?と問われれば名実共に松田聖子なのだから。裏を返せば、余りに世間に知られすぎていざレビューしようにもしづらかったりするのだ。
が、やはり改めて最近このbibleを手に取り、聖子が80年代の象徴的存在だったと激しく実感できる。大抵のビッグ歌手には、誰もが知る名曲というのが1曲は存在するが、聖子の場合はそれが20曲近くあるのだから。。特にDisk1は、イントロを聞いた時点で背筋がぞくぞくするような感動を覚える。♪2・3の類似したイントロながら徐々に湧き立つ季節感。♪5の先が広がるようなイントロ。♪6の夏の高揚感を見事にデジタルで表現。以後挙げたら限が無い。この頃は、季節的特に「パラソル」「夏」「風」に代表される初夏~の空気感を歌詞のみならずサウンドでも表現した辺りが流石、勿論聖子の歌唱力表現力もそれに華を添える。中期以降のビッグネームが集う楽曲の完成度も聴き所だろう。敢えて、敢えて、名曲を一つ挙げるなら私は♪18を挙げたい。聖子では珍しく短調系楽曲だが、その刹那さを実に聖子が表現している80年代を代表するバラードだろう。
聖子がここまでスターダムに上り詰めた一つの要素に歌唱力が挙げられると思うが、私感では単に巧い下手という角度での歌唱力以外にも、「魅せる歌唱」というのを先天的に獲得していた気がする。既述の表現力もそうだが、「アイドル然」とした、それでいて極めて嫌味の無い万人に愛されるボーカルがそれではないだろうか?既に「裸足の季節」からその片鱗を実感できる。以降スターダムに上り詰めたのは至極当然だっただろう。
本盤をカーステでかければ、誰もが懐かしさを以って話題に花が咲く。こういう歌手は、おそらく松田聖子だけだろう。
ブルーラグーン [DVD]
無人島に流れ着き暮らす二人の男女、
はじめはただの共に暮らす仲間から徐々に男女の関係になり、
それぞれの思春期の心が映画の中で表現されているところが見所の一つ。
また、自然が美しいダイビング等のムービーは多々あるが、
あくまで大自然の中の一部として文明を知らない男女が映しだされている事
がこの映画をより良い作品に仕上げていると思う。