アンソニー・フィリップス ランキング!

アンソニー・フィリップス アーカイブ・コレクション・ヴォリューム1(紙ジャケット仕様)

 2004年にリリースされたアーカイブコレクションの第2弾、99年にリリースされた第1弾も悪くない出来だったが、ぼくは本作の方が全体的なクオリティが向上していると思う。普通アウトテイクスの続編としてリリースされるものといえばまさしくボロカスのような出来が多いのだが、本作は違う。本作はPP&Pシリーズや他のオリジナルアルバムと比べても遜色のない出来で、ファンにとっては絶対に楽しめる作品だと思う。収録曲の多くはオリジナルバージョンのアウトテイクだったり、ボーカル抜きのインストだったり、映画のサウンドトラックやミュージカルのために作った曲だったり多彩な楽曲で構成されているが、アコギ曲の次にシンセ主体の曲を配置するなど飽きない曲順に編集されている。1枚目は77分、2枚目も60分近いボリュームで、仕事のBGMやドライブの時の拾い聞きなどにお勧め、特に1曲目のギターソング〜タルカの別バージョン〜マイクラザフォードの共作ディープインザナイトまでの流れはファンがアンソニーに期待する世界そのものだ。収録曲の中にはPP&P第2弾に収録されていた「スコティッシュスーツ」の別バージョンがあり、マイクとアンディマカロッチのリズムアンサンブルが再演されている。最終曲「フィナーレ」は「インビジブルマン」のエンディングのために用意されたインスト曲で、ぼつ曲なのに人気の高いあの「アレックス」に似たリズムボックスとファズギターソロが挿入された楽曲だ。本作の楽曲は1988年までに作られた作品なので89年以降の作品をまとめた「アーカイブコレクション3」が将来リリースされるのかもしれない。まだまだお宝が眠っている。 アーカイブ・コレクション・ヴォリューム1(紙ジャケット仕様) 関連情報

アンソニー・フィリップス スローダンス(紙ジャケット仕様)

 この「スロウダンス」のリリースにあわせて1990年の11月にアンソニーの旧作品群がCD化され、「ギースアンドザゴースト」や「ワイズアフターザイベント」「サイズ」などの作品が初CD化され、本作とともに聞き込んだことを思い出す。本作品は2部構成で、お得意のクラシックギターだけではなく、「プライベートパーツピーセズ7」の製作で学習したジュピター8やプロフェットシンセサイザーを使用して臨場感あふれるオーケストレーションを実現している。前半と後半に分けた展開はマイクオールドフィールドの「ハージェストリッジ」や「オマドーン」を想起させる。前半の終末部は明らかにマイクオールドフィールドの作品群の影響を感じさせる。サウンドの全体的な印象はジャケットの深緑色の世界で、シンセとクラシカルギターの絡みや柔らかく染み渡るように広がる暖かいシンセの音色、後半の雨音のようなシンセに優しいギターが絡む展開など聴き所が多く飽きさせない。この内容を考えるとよく日本盤(ポニーキャニオン)がリリースされたと思う。バブル絶頂期だからこそ可能だったのかもしれない。 スローダンス(紙ジャケット仕様) 関連情報

アンソニー・フィリップス ヴォイス(初回限定盤)(DVD付)

グラミー受賞直後のアルバムってことで、これで初めて上原ひろみを聴く人もいるでしょう。
言い過ぎは承知であえて書きますが、このアルバムが気に入らなければ、たぶんもう他は聴く必要ないです。
これまでの集大成と言っていいような、彼女らしさの全てが詰まっている、そんなアルバムです。
代表作になると確信します。

一部ジャズマニアから、こんなのはジャズじゃないといった批判をされたりもするようですが、私も違った意味で、上原ひろみのジャンルは何かと訊かれたら、ジャズではなく、
「ピアノそのもの。彼女こそがピアノである」と答えます。
ジャンルなんて超越し、ピアニストであることすらも超越した、まさにピアノと一体化した彼女の声(VOICE)がスピーカーから聴こえてくる、このアルバムは特にそう感じました。
彼女自身、楽器を演奏しているという感覚は皆無なはず。
そして声である以上、出来ない表現があることは耐えられないのでは?
だからこそ彼女はひたすらストイックにテクニックを磨くのでしょう。

2011年マストバイです!
ジャズということで敬遠している方にこそ聴いて欲しいです。
最後に、あえてジャンルに分けるなら、このアルバムはロックです。 ヴォイス(初回限定盤)(DVD付) 関連情報

アンソニー・フィリップス フィールド・デイ(紙ジャケット仕様)

2005年にリリースされた2枚組作品。PP&Pシリーズや企画盤ではない作品としては実に1990年の「スローダンス」以来になる。全曲がアコギを中心とした楽曲で、電気ギターやドラム、ベースは使われておらず、最初聞いたときにはアーカイブコレクションのように時折8ビートのドラムとベースのリズムトラックが欲しいと思ったりしたが、何度も聞くうちに1曲1曲の個性が分かるようになり、ファンは良さを分かってくれるという自信を持ってリリースされた作品だということが理解できるようになった。雑誌のインタビューによるとアンソニーは近年テレビ音楽の仕事でキーボード音楽を作曲する機会が多く、そのフラストレーション解消のためにアコギを使った曲を作曲し、少しずつ録りためていたらしい。なので制作期間は幅広く2001年からの楽曲で構成されている。2枚目の前半部分の楽曲が個性的で、同じアコギでも様々な技法や表現力を駆使した楽曲が連続して登場する。僕は連日仕事のBGMとして本作を愛用しているが、気持ちを落ち着ける効果だけではなく、企画のアイデア、創造力が湧いてくるので、BGMとしてのお勧めできる。 フィールド・デイ(紙ジャケット仕様) 関連情報

アンソニー・フィリップス ヴァレンティノ [DVD]

ハリウッドで活躍したのはわずか5年。ドラマティックにしてスキャンダラスな「ルドルフ・ヴァレンティノ」。演ずるは20世紀を代表するバレエダンサー「ルドルフ・ヌレエフ」。50代半ばで世を去ったこちらもドラマティックかつスキャンダラスな人生。二人のルドルフ、どちらも愛称『ルディ』。

監督は先日84年の生涯を閉じたケン・ラッセル。「チャイコフスキー」「マーラー」「リスト」など芸術家の生涯を独特な切り口(というよりは換骨奪胎)と、イマジネーション溢れる(過激にして美しい)映像表現で描く。
ラッセル監督がいったい二人の「ルディ」をどう捌いてしまったのか。鑑賞以前におかしな心配をしてしまう。どちらの「ルデイ」にも思い入れがなく、ラッセルファンという方が一番心穏やかに、監督に身をゆだねることができるのでは?

31歳の若さで亡くなったヴァレンティノ。葬儀には何万人ものファンが押し寄せた。映画はモノクロの押し寄せるファンの波から始まる。棺に入ったヴァレンティノ(ヌレエフ)の顔がアップで写る。カメラが引くと同時にカラーに変わり、ヴァレンティノのハデな死化粧があらわになる(笑)。尋常ならぬ華美な葬儀場。 真っ赤な花で作られた大きな「ハート」!(後のシーンで登場)
棺を囲んで「このスターの死をどう有効に宣伝に使うか」の相談。外からはファンがなだれ込む。破れた壁を棺のふたで乱暴に修理。もう無茶苦茶!!。

死を悼む女性が登場。そして過去のシーンへ。邸宅の中、タンゴを踊る二人の『男性』。ヴァレンティノとニジンスキーという設定。バレエダンサーのタンゴは見応えがある。美しいー!タンゴが一段落すると、「ニジンスキーさん」が普通のバレエを少し披露。すごく嬉しそうに眺めるヴァレンティノ(ヌレエフ)。二人の関係を暗示しているのはいうまでもない。 後半、「ピンクのパフ」が乱れ飛ぶシーンがあるが、これも男色を意味するのだという。

葬儀。過去。過去のロケとスタジオ撮影現場。交錯しながら、ヴァレンティノの出演作品に、その時々の女性、その他事件を絡ませドラマティックにしてスキャンダラスな短い人生をたどる。ぶっとんだコミカルな雰囲気濃厚。バレエ『牧神の午後』のポーズをとりながらの写真撮影。重婚罪での獄中ヴァレンティノに迫り来る恐怖(コミカル)。矢継ぎ早に場面が変わりイメージの洪水。全編豪華絢爛装飾過多。随所で使われるタンゴの曲と踊りが官能的なムードを醸し出す。(ヌレエフのダンスはスゴく得した気持ち!)

徐々にハリウッドに食いつぶされていくヴァレンティノの悲哀を見せる。イタリア出身、オレンジ農園が夢だったのに・・・。
ヴァレンティノの「ファンを虜にした性的魅力」と「ナイーヴさ 」。ヌレエフは特に後者を上手く演じていたと思う(魅力はある程度自然に出る)。
ついにヴァレンティノは無謀な戦いに挑む。相手はハリウッドのシステム、マスコミ、ファン(全て今日持ち上げたかと思えば翌日には手のひらを返すような存在)。その象徴としてのボクシングのシーンは大勢の観客、ダンスとパワフルな映像で圧巻。
前半なんとなく戸惑い気味だったヌレエフも、中盤過ぎからはもう腹をくくって大熱演。二人のルディに拍手!(実はとまどったのは私かも?ストーリー順に撮るわけでもないのだろうから。)

そしてヴァレンティノは力つきる。(実際は胃の病気で亡くなったとか。) オープニングのハデ葬儀とは打って変わって静謐なエンディング。
「天国に今夜星がひとつ新たに現れる〜♪」オープニングとエンディングに流れるとても美しく穏やかな曲。ハリウッドのスターとバレエ界のスター。二人のルディ。幾多の重圧を受けながら駆け抜けた人生。二人のスターは空の星になった・・・。ケン・ラッセル監督も星になった・・・。
みんないつかは星になる。好きなようにかけぬけよう!どうせいつかは星になる〜♪
ヴァレンティノ [DVD] 関連情報



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