ごく普通の一般人である和人が宇宙人の成恵に出会うという
ありふれたボーイミーツガール話にSFのしずくを垂らしたような本作品.
しずく,程度で,単にボーイミーツガール話をニヤニヤしながら読むのが楽しみでした.
ところが,巻が進むと今やSF話にボーミーツガールの名残りを残すといえるぐらいに,
とことんSFの話となってまいりました.
だが,それがいい.
連載から時間が経過して,私も多くのことを学んできた状態で,
単調な日常生活に終始する作品では物足りないと考えるようになってきたからです.
漫画は,別に読みやすい必然はありません
読みやすいものは「多くの人が理解可能」であるというだけです.
「理解不可能」が「悪い作品」ではありません
ノーベル賞の論文を「多くの人が理解不可能」でありながら賞賛されるようにです
そんな私にとって,この作品は数少ない手持ちのコミックとなりました.
機族や星門,蛇の設定を適当に投げっぱなしではなく,まっとうにシミュレーションし,
消化したこの作品は,後世にも胸を張れる作品だと思います.
大学生時代から買い続けて社会人となった今でも続きを楽しみにできる漫画,
ということで評価は満点でございます.
様々な経験を経たからこそ,日常は輝くワケで...
アニメ版の
成恵の世界は、スローなペースで成恵の心の動きをていねいに追っているのが良いですね。いやあ、
スタッフは判ってくれてます。原作と違い、第一話の本編は成恵がおさんどんするシーンから始って、大根を値切ったり女性週刊誌を立ち読みしたりする日常や、誰とも口を利かない学校生活の彼女を追って行くのですが、これが原作ではやや唐突感のある、成恵が和人に心を開くシーンをより印象深いものにしています。ここの成恵の表情の変化がほんと良いんだ。このシーンで星5つです。第二話の幸せいっぱいの成恵との対比で孤独感が際立つはじめもなかなか。
アニメ版のスタートラインとも言えるラジオドラマ版の出来が良かっただけに、原作者推薦の能登麻美子の声の成恵が動いているのを見て感涙に咽んだ人も多かろうと思います。しょっぱなからメインのキャストが完全に勘所を掴んでいる、ってい作品も滅多にありますまい。原作を読んでいてもラジオドラマを聴いていても大丈夫。メディアの違い、解釈の違いが興味深いです。