人間は死ぬ瞬間に自分の人生のパノラマを見るという。
自分が今生きているこの世界はどこかのだれかのパノラマ
じゃないとだれが証明できるのでしょうか?
連作短編によるオムニバス形式のマンガですが、どこかで
ストーリーはつながっており、小川が大河となり海に注ぐ
ように、最終話で見事なフィナーレに統合される巧みな展
開となっています。サインペンで書かれたような個性的な
絵、歴史上の事実を引用して、どこまで本当なのか虚構な
のか判断に苦しむストーリー。すべてのお話に「人生」と
いうものを感じさせつつ重くならない技法。見事です。
宇宙ステーションに行ったガガーリン大統領の記憶に操縦
不能となったミグ15戦闘機の映像がフラッシュバックす
るあたりはよほど歴史に詳しい人しかわからないオチだと
思いますが・・・・。
本当に知る人ぞ知る隠れた傑作だと思います。
聞いたこともないような出版社だったし、書評で取り上げ
られなければ、存在すらしられなかったかもしれません。
最近の商業マンガとは一線を画す作品だと思う。
次回作も是非読みたいと思います。