四季・奈津子についてですが、烏丸せつこという、女優の生きざまを見たきがします。時代背景や、奈津子の自由奔放な女性を大胆に演じられている。グラビアアイドルをかなぐり捨て、濡れ場をも、演じる。まさに、夢を追い続けているからこその、若いからこそ、怖さも恐れない、女優をこれからも、応援したいです。
よくもまあ、ここまで芸達者な芸人をフルキャストで・・・まあ・・・という素晴らしさ。加東が面接のときに伴淳の演技を見る目は、まさに至極のものに出会ったときの監督の目だ。その監督兼主演の加東も自作自演というだけにいつにも増して熱が入っている。
志村喬&三橋達也のビジュアルからしてハマリ役の上官、伴淳三郎&桂小金治&三木のり平の芸達者ぶりに舌鼓を打つまもなく渥美清まで加わる。これだけのキャストが集って、戦地における慰安劇団を作るんだから面白くないわけがない。
フランキー堺やら森繁久弥が加わってきてもう気分は、まるで「駅前シリーズ」か小林桂樹で「社長シリーズ」(しかも特別出演でチョイ役でしか出てくれない)だが、実にいい泣かせどころも用意されている。しかもそれがごく自然なエピソードとして盛り込まれているため、反戦メッセージも決して偏ったものではなくて、純粋に自然と戦争への嫌悪感がわいてくる。
「せっかく劇団を作るんだから一応ちゃんとしたものを作ろうと思ってるんだ」という加東大介のせりふは、そのまま本作への思いを述べたものではないかという気がするのは気のせいだろうか。それほどこの作品は出来がいい。昨今の意味不明な泣かせ劇で反戦を訴える駄作より数倍説得力があり、見ごたえもあった。
東陽一監督の映画「マノン」1981年作品が、近日、DVDで発売されるという、大いに期待しつつ、80年代の初期の
時代と我が、蒼き時のなかで、走り抜けた場面が蘇る。
作品で、印象的なものは、主演女優の烏丸せつこさんが、逆さ吊りで運ばれていくシーン、いわゆる「なんじゃこり
ゃ!?」である。烏丸さんを中心にしての、男優陣の
津川雅彦さん、荒木一郎、そして、若き、ビートたけし、
佐藤浩市さん、個性派ずらりのすごいキャストのもと、制作された「マノン」、東陽一監督も「サード」に続くもので、
今までの邦画にはない、斬新な映像手法と演出が画面いっぱいに表現されているし、また、若かった、男優さんたちの
眼がいい、ギラつきに近い。眼が燃えるている。音楽も荒木一郎氏、これもいい、作品にぴったりとはまったメロディ
ー。
この作品は、年配者は、もちろん、若い人にも観てもらいたいものである、80年初期の生きてゆくための鼓動を
感じてもらえば幸いだし、強く推し進めたい。
(追記) 今では、大監督のビートたけし氏の映画作品の数々、この「マノン」的、アイデア・イマジネーションが
彼自身が制作したものに、今日も、流れ、存在しているのではないかと感じる。