最初からパユの
フルートの音が気持ちよく響くので、画面に吸い込まれてしまうくらい、夢中で見てしまう。表題の「幻想」も、教会の空間を生かした演出があって、趣がある。ヤンソンスの指揮は、きれもいいし、人柄がでるのか、とても温かな演奏に仕上がっている。特典映像でイスタンブールおよび会場のイレーネ教会、またトルコの伝統音楽についての詳しい説明があるのも、参考になって楽しめた。
この《幻想交響曲》のスコアは、最近の新全集版の研究成果も盛り込まれており、楽譜に書かれた指定も、多くの版が
イタリア語に書き換えているようなところも、もとの
フランス語で記している。(
フランス語と
イタリア語の対応表が付いているので、
フランス語がわからなくても問題は無い)
コンピュータ浄書のためきれいで見やすくベーレンライターなどの輸入版より価格も手ごろでよい。
さらに、ベルリオーズ自身が楽譜に書き込んだ注意書きも下に添えられており、この曲を研究する上ではまさに欠かすことの出来ない一冊である。
ミュンシュ、モントゥー、クリュイタンスといった三羽烏は
フランスから
ドイツと何を指揮しても上手い。
「幻想交響曲」はミュンシュのものは非正規ライブを含めて数あれど。
純粋な
フランス管弦楽を満喫できるのはEMIによるこの
パリ管です。多少荒々しい面が入るのは幻想のエクスタシーを感じさせるにふさわしくまさに名盤。