オーネット・
コールマンが
ジャズシーンで注目され始めた1959年前後の6枚のアルバムが集められている。
いわゆるフリー
ジャズの出現に当時の評論家やハードバップを演奏するのに飽きがきはじめていたミュージシャン達が騒然とした頃である。
オーネットの音楽は本当に魅力的だと思う。彼の奏でるアルトサックスの響きはどこまでも伸びやかで、音色はつややか。一方、音楽全体から受ける印象は柔らかで心地よい。フリー
ジャズという言葉から受けるギスギスした音楽というイメージは全くない。
ジャズを聴き始めて以来、どちらかというと美しい旋律やノリのいいスイング感、あるいはキレのいいアドリブといったものを重視してきたが、何かのきっかけでオーネットの音楽に開眼し、抜けられなくなった。
フリー
ジャズを毛嫌いしている方、あるいは聴かず嫌いの方、このお得なパッケージ、ぜひ聴いてもらいたい。
1959年5月22日、
ハリウッドで録音。新しいサウンドを求めていた当時の
ジャズ界に『フリー・
ジャズ』の中心的存在として登場したオーネット・
コールマンの代表的な作品として名高い。
そして今聴くと不思議なことに最も有名な『淋しい女』よりも、むしろ『イヴェンチュ
アリー』より後の曲の方が興味深い。なぜなら独特のフレージングの取り方と和音の展開、リズムが後続の有能なミュージシャンたちの根っこになっていると思えるからだと思う。代表的なのがパット・メセニーで、彼のギターのフレージングの多くはオーネットのそれに多大な影響を受けている。ある意味アルト・サックスで実行された音楽を、ギターに弾き直し、発展させたものがパット・メセニーの音楽の根底にあると思えてくる。
それはパットに限らない。ここで競演しているドン・チェリーにしてもチャーリー・ヘイデンにしても色濃く、オーネット・
コールマンの独特な触感を受け継いでいる。そういう観点からも
ジャズ史上最重要アルバムの一つと言えるだろう。